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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第11回:バイオサイエンス研究科 末次志郎教授 [2014年9月30日]

「細胞包む“シャボン玉”」

末次志郎教授

 

細胞内で、小胞が作られる際のイメージ。細胞膜がくびれ、きられる際に、鋳型たんぱく質が細胞膜の形をつくる(nm=ナノ・メートル)
  • 細胞内で、小胞が作られる際のイメージ。細胞膜がくびれ、きられる際に、鋳型たんぱく質が細胞膜の形をつくる(nm=ナノ・メートル)

ふわふわと空中を漂うシャボン玉。一見すると一重の膜のように見えますが、実は、せっけん分子でつくられた2層の膜でできています。これによく似た構造が、私たちの体の中にもあります。

それは、体の細胞ひとつひとつを包んでいる細胞膜です。こちらは特別な脂質が2層に重なったもので、「脂質二重膜」と呼ばれています。この膜は、細胞の外の物質が、中に入り込まないようにする壁となっています。ですので、細胞の外の物質を取り入れる時には壁そのものが変形します。この仕組みは、私たちが生きるためには欠かせないものです。

必要な物質を取り込む場合は、その物質が接触した細胞膜の一部が、あらかじめ決まった直径でくぼんで管のようになります。やがて、その管はくびれ、ちぎれて、わずか直径100ナノ・メートル(1万分の1ミリ)ほどの袋(小胞)になって細胞の内部に運ばれていきます。取り込まれた物質は、小胞の中にあります。

ただ、この膜は単なる分子の集合体なので、シャボン玉同様、形が安定していません。細胞は、役割に応じて形が決まっていますから、それでは困ります。

では、どうやって細胞の形が作られるのでしょうか。その答えは、この膜にくっつくたんぱく質にあります。たんぱく質は、脂質膜に比べてはるかに固いので、膜の表面では、タンパク質が細胞の形の「鋳型」になっているとみられます。小さな鋳型タンパク質がパズルのように組み合わさって、複雑な形を作ります。この現象は小胞を作る際など、細胞内の至る所で見られ、生物の基本的な仕組みと考えられつつあります。

この仕組みに異常が生じると、病気を引き起こすと考えられています。私たちは、がん細胞を使って、たんぱく質を増やしたり減らしたりしてどんな変化が起きるかを調べています。この研究が、病気になるメカニズムを解明するきっかけになると期待しています。

 


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