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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第18回:情報科学研究科 門田暁人准教授 [2015年1月20日]

「著作権守る 電子透かし」

門田暁人准教授

 

プログラムに埋め込まれた電子透かしの一例。普通なら実行されない箇所に挿入されており、その中の「命令コード」に特殊な処理を施すと、暗号化したものが現れる
  • プログラムに埋め込まれた電子透かしの一例。普通なら実行されない箇所に挿入されており、その中の「命令コード」に特殊な処理を施すと、暗号化したものが現れる

米国のマウイXストリーム(MXS)社は、2004年に「チェリーOS」というソフトウェア(コンピュータプログラム)を開発し、インターネット上での販売を開始しました。ところが、このソフトウェアは「ペアーPC」という別のソフトウェアにそっくり。「ペアーPCのソースコード(プログラムリスト)を盗用したのではないか」と多くの専門家から指摘されました。そうした疑問にMXS社は答えることなく、「チェリーOS」の販売を中止してしまいました。

このように、ソフトウェアが盗用されるという事件が今日では数多く発生しています。もともとソフトウェアにも、小説や音楽と同じように著作権があり、使用条件を定めたライセンスが付与されています。そのため、他人の作ったプログラムを許可なく改造したり、自分の作るソフトウェアに組み込んだりすることは禁じられています。

それでは、あなたの作ったソフトウェアの著作権を守るにはどうすればよいのでしょうか。世の中には似ているソフトウェアはたくさんあるので、単に似ているというだけでは盗用されたとは断定できません。著作権の侵害を立証するためには、確固とした「証拠」が必要となります。

私たちの研究室では、そのような証拠をソフトウェアに埋め込んでおくための技術である「電子透かし」について研究しています。それは、お札の透かしのように、普段は見えないが、特別な処理を施すと現れるものです。

あなたの開発したソフトウェアに、あなたの名前や開発日などのデータを電子透かしとして埋め込んでおけば、たとえソフトウェアが盗用され、あなたの許可を得ずに販売されたとしても、そのソフトウェアから電子透かしを取り出してみせることで著作権の立証ができます。

ただ、この研究の難しいところは、ソフトウェアに電子透かしが入っていることを簡単に悟られてはならないことです。知られてしまうと、盗用者によって消される恐れがあります。その一方で、必要な時に著作権者にだけ簡単に取り出せることが求められます。ソフトウェアが進化すればするほど、「隠す」と「取り出しやすい」の相反する性質を兼ね備えた「電子透かし」の研究は高度にならざるを得ません。


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