ドキ★ワク先端科学
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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~
第21回:情報科学研究科 門林雄基准教授 [2015年3月3日]「革新続くインターネット」 |
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インターネットは、とても便利ですね。読者の皆さんも宿題や調べもので使っていることと思います。ところで、インターネットっていつ完成する予定なのか、知っていますか?
こんな質問をして、「あれっ」と思われたかもしれません。日本で誰もがインターネットサービスに加入できるようになってから20年以上が経っているのに、まだインターネットって完成していないのでしょうか。
では、東京という都市はいつ完成するのでしょうか。ビルが立ち並び、高速道路も整備されているけれど、ものすごい勢いで新たな高層ビルに建て替わったり、高速道路が延びてさらに便利になったり、都市機能が進化しています。
インターネットも、発展し続ける大都市のように、古い光ファイバーを新しくより高速なものに置き換えたり、新しいアプリケーションが使えるように絶え間なく技術革新したりしているのです。技術革新のペースはめざましく、毎日、インターネットのあちこちで改修工事が行われています。静かなバージョンアップが日々続いている、と言えましょう。
最近、テレビやデジタルカメラなど、IT機器以外のものをインターネットに接続するIoT(Internet of Things)という新しいキーワードを新聞でもよく見ます。これらも突然発明されたものではなく、インターネットの技術革新が新しい段階に入ったことを示す例です。
国際電気通信連合の報告によると、昨年末時点で30億人がインターネットを利用しており、その3分の2が発展途上国にいるそうです。インターネットが発展途上国の経済発展や、先進国との知識平準化に一役買っているのは間違いなさそうです。
インターネットは世界共通のインフラですから、そこで見いだされる課題も、多少の地域差はありますが、共有のものがほとんどです。年に3回、インターネット技術の標準化会合が欧米や日本国内などで開かれ、毎回1,000人以上の技術者が世界各国からやってきて技術課題の解決に力を合わせています。私たちの研究室にも、フランスやアメリカなどの先進国だけでなく、セネガル、ルーマニア、タイなどさまざまな国から留学生がやってきて、インターネット技術をさらに良い方向に発展させるべく、熱心に研究しています。