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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第26回:バイオサイエンス研究科 中島敬二教授 [2015年6月16日]

「法則が支配する植物の形」

中島敬二教授

 

キャベツの葉をむき、外側から順に番号をつけた。一つの葉と次に生えた葉の角度はほぼ137.5度になっている
  • キャベツの葉をむき、外側から順に番号をつけた。一つの葉と次に生えた葉の角度はほぼ137.5度になっている

最近、「数理生物学」という研究が注目されています。「数理」と「生物学」。イメージの上では、なかなか結びつきませんね。

例えば、私たちの身近にある植物の形には、いろいろ数理的な法則が見て取れます。よく知られているのは葉の付き方です。真上から見たキャベツが、いびつな五角形なのをご存じですか? 「五角形だからキャベツの葉は72度ずつずれて付いているのか」と考えるのは早とちりです。

キャベツを外側から丁寧にむいていけばわかりますが、葉は隣の辺を一つ置きに飛ばす形で順に付いています。つまり、計算の上では144度ずれていることになります。でも、いびつな五角形なので、正確に144度ではないはずです。

このように葉が付く多くの植物で、その角度は137.5度付近になることが知られています。実際にキャベツをむくと、確かにそれぐらいの角度でした(写真)。そしてこの角度の時に、葉同士が最も重ならないことが分かっています。「なるほど、植物が効率良く光を受けるためか」と思うのも早とちりです。

日中の太陽光は、植物が光合成に使う量をはるかに超えていて、むしろ細胞の生存に危険なレベルです。光を受けるために適応したというよりも、若葉が芽吹く茎の先端の立体的な構造が関係している、と考えたほうが良さそうです。

このような葉の付き方の原理は、「新しくできた葉が隣に別の葉を作らせないようにしている」、そして「葉が大きいほど周囲への効果が強い」という二つの仮定で説明できるとされていました。

そして2003年、茎の先端部でオーキシンという植物ホルモンが作用し、この原理を実現していることが実験的に示されました。オーキシンは、葉以外にも植物を形作る様々な場面で使われています。

現在の数理生物学は、もっと多くの条件や遺伝子が絡み合った複雑な現象を扱います。「数学」と「生物学」をうまく組み合わせ、自然界の謎が特定の分野では解けるようになりつつあります。さらに進むと、天候のデータから穀物の収穫量や果物の成熟度を正確に予想したり、収穫量が最大になる植物の形をデザインしたりといったことが出来るかもしれません。

私たちの研究室では、植物の形の裏にある原理を細胞レベルで解き明かそうとしています。植物を深く知ることが、人間社会や地球環境の改善につながることを願いながら。


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