ドキ★ワク先端科学
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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~
第27回:情報科学研究科 高松淳准教授 [2015年7月21日]「『人間並み』ロボット目指す」 |
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「ロボット」とはどんなものを指すのでしょうか?
周囲の様子をキャッチするセンサーと、筋肉の役割をする駆動装置、脳にあたるコンピューターからなり、センサーが読み取った情報に応じて駆動装置を適切に動かすことができる機械。広い意味ではこう定義されます。この定義によれば、洗濯機や掃除機もロボットということになります。
多くの人が想像するのは、ホンダの人型ロボット「ASIMO(アシモ)」のような「人(動物)の姿や知能を模した機械」だと思います。しかし、研究者の間では、姿は異なっていても、知能が人に匹敵する能力を持っていればロボットと考える人もおり、そんなロボットの実現を目指し、日々研究が進められています。
言葉を覚えたり、計算したりといった、人間が行っている知的な情報処理をコンピューターで実現する、いわゆる人工知能の研究は1950年頃から始まりました。
今では、人間が基本情報を与えなくても、膨大な電子情報「ビッグデータ」の中から、特定のものを認識することができるまでになっています。
例えば、米グーグルは数年前、開発した人工知能が動画投稿サイト「ユーチューブ」から猫の画像を認識する能力を自力で身に付けたと発表しました。通常なら、猫がどういうものかを人が学習させなければいけませんので、驚くべきことです。
このように、人間のような、あるいはそれを超えた分析や識別、言語処理ができるようになると期待され、近年、人工知能ブームが起こっています。
ただ、全てを一から学習するのは、様々なことを計算式で処理するロボットにおいては、やはり効率的ではありません。あらかじめ人のあらゆる行動パターンをロボットに覚えさせておけば、類似の事象を見つけて当てはめることで、人の意図を予想することもできます。また、人の立ち居振る舞いのデータを入力しておけば、より自然なコミュニケーションが実現できるでしょう。
我々は、そんなロボットを実現するための一つの方法として、3D(3次元)計測装置などを使い人の行動や周りの環境を読み取る技術を開発しています。そして、有効なデータベースを作って活用し、ロボットをより知的に動かすことを目指しています。