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子育てを取り巻く皆様へ


バイオサイエンス研究科 植物分子遺伝学 河野洋治助教


記念すべき第一回目の男女共同参画室のコラムの大役を仰せつかった、バイオの島本研で助教をしています河野です。与えられたテーマは、「子育て」です。私からは、異なる人を対象に3つのメッセージを送りたいと思います。

これから子育てに挑戦する皆さんへ
私が伝えたいことは、「子育ては楽しい」この一言につきます。科学的な根拠はありませんが、これは、遺伝子レベルでプログラムされたものに違いありません。皆さんご存じのように、人間は怠け者です。この怠け者の人間が育児という大変な事業をやり遂げるのですから楽しいに決まっています。
私は、若い頃、特別な事あるいは特別な生活が幸せをもたらすと信じていました。しかしながら、この仮説は、間違っていることに気がつきました。普通のこと、自分に身近なものこそが大きな幸せをもたらすことに気がつきました。 普通の生活がもたらす、幸せを是非体感してください。

子育てが現在進行形の皆さんへ
私は、このカテゴリーになります。日々悪戦苦闘しながら、子育てをしています。ストレスをためずに、子育てをするこつは、「自分で自分を褒める」ことです。やはり、他人(パートナーも含む)があなたのすべての努力を評価することは不可能です。ナルシストのように、自分で自分を褒めてください。子育てがもっともっと楽しくなります。
 子育てをしていて感じるのは、子育て中に支えてほしいポイントが夫婦の間で異なる点です。勝手な思い込みかも知れませんが、男性は子育てで精神的に疲労することは少ないですが、女性は精神的なストレスを比較的ためやすいように思います。恐らく子育て中に一番大切なことは、女性の「心」を支えることのように思います。最も身近な存在(理解者?)である夫がキチンとケアーすることが大切だと思います。ちなみに私は、ケアーができないのでよく夫婦ゲンカになります。
また、子育てをする上で最もストレスを感じることは、自分以外の他人が時間をコントロールすることだと思います。例えば、子供の病気、突然の研究室のセミナー変更や大学の行事などです。このような場面では、他の人に迷惑がかかる場合も多く、自分で時間をコントロールできなくなるので非常にストレスになります。この点は周りの人が、すこし気を遣って頂けると子育てが現在進行形の人たちは大変助かります。

大学へ
皆さんご存じのように先端大は、振興調整費の女性研究者支援モデル育成事業(以下、支援モデル)に採択されています。これは、大学が支援モデルのお金を使って、女性研究者が研究活動を継続するための支援を行う仕組みを構築することを目的としています。したがって、支援モデル終了後は、自学経費で支援を行う仕組みを維持しなければなりません。大学の運営費交付金が、毎年減らされている状況で、お金がかかる仕組みの構築は不可能となります。
 少し話は変わりますが、現在は、昔と異なり、お金さえ出せば女性研究者の研究と出産・育児等サポートする会社はいくらでもあります。その意味では、女性研究者の支援を行う仕組みは存在することになります。しかしながら、女性研究者の雇用は、大幅には促進していません。
では、何が足りないのでしょう?
それは、仕組みが足りないのではなく、社会全体の意識が足りないのではないでしょうか?女性研究者の「心」を支えることができるような社会そして夫を育成することが大切なミッションとなるでしょう。女性の子育てをサポートするのではなく、自ら主体的に子育てができる夫の育成が女性研究者の雇用促進の起爆剤となるはずです。良い夫の数が増えれば、社会の価値観も徐々に変化していくでしょう。私の経験では、多くの男性研究者の妻は、研究者あるいは元研究者の場合が多いと思います。すなわち先端大には、女性研究者の良い夫の候補が沢山いることになります。良い夫を育成するための意識改革に、多くのお金は必要ありません。お金をかけずに女性研究者の支援を行う新たな仕組みが構築でき、支援モデルの目標も達成できます。先端大参画室のホームページを見るとそのほとんどが女性研究者のみを対象としたもので、男性研究者に対するアプローチがないのが非常に残念です。是非、良い夫を育成するためプロジェクトを設立して下さい。

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