| 優性の遺伝子が劣性の遺伝子に勝つ新たな仕組みを発見 メンデルの優性の法則の謎解明に新たな視点 |
| バイオサイエンス研究科 細胞間情報学講座の柴 博史助手、高山 誠司教授及び東北大学の研究グループは、植物の遺伝子に優性と劣性があり、優性が劣性に勝って、優性の性質のみが表現されるという古くから知られる遺伝現象に、劣性の遺伝子を働かなくする後天的な遺伝子発現制御機構が関与している例を世界で始めて発見した。この研究成果(論文名Dominance relationships between self-incompatibility alleles controlled by DNA methylation 和訳:自家不和合性でみられる優劣性現象はDNAのメチル化によって制御されている。)は、Nature Genetics誌オンライン版(1月29日)に掲載。 なお、メンデルの法則で知られる遺伝現象に新たな仕組みの存在を明らかにした研究であり、必要な性質だけを優性にするなど、植物育種への応用も期待される。 |
| 【論文要旨】 近親交配を避けるため、アブラナ科植物は、自己の花粉と受精しないようにする自家不和合性の機構を持っている。花粉上に存在する自己・非自己の標識となる因子(SP11)は、葯内部のタペート組織で胞子体型に発現しているため、花粉側における自家不和合性の表現型は葯タペート細胞が持つ2つのS複対立遺伝子間の優劣性によって決定される。今回、我々は劣性を示すSP11遺伝子の発現を制御する5’プロモーター部分が、SP11遺伝子の発現開始に先立ち、葯タペート組織内で特異的にメチル化という化学修飾を受けることを見出した。この結果は、劣性側の一つの複対立遺伝子だけが、タペート組織で特異的に新たにメチル化されることが、アブラナ科植物の自家不和合性の表現型決定に関わっている事を示唆している。 |
| 【解説】 子供は、父親と母親からそれぞれ一組ずつの遺伝子を受け取って生まれてくるが、父親と母親の両方の性質ではなく、いずれかの性質のみを受け継ぐ場合が多いことが知られている。メンデルが発見した「優性の法則」として古くから知られている現象であるが、何故一方の優性側の遺伝子の性質のみが現れ、劣性側の性質が現れないのか、その分子機構は未解明の部分が多い。今回、我々は、優劣性の関係が詳細に解析されてきたアブラナ科植物の自家不和合性遺伝子SP11に着目して、何故劣性側のSP11遺伝子の性質が現れないのか、その原因を解析した。その結果、劣性側の自家不和合性遺伝子の発現を制御している遺伝子(DNA)領域が、メチル化という化学修飾を受けていることを発見した。DNAのメチル化による遺伝子発現制御の仕組みはエピジェネティクスと呼ばれ、発生関連遺伝子の調節、外来遺伝子の抑制、染色体の安定化などに関与していることが示されてきているが、優劣性という現象にエピジェネティクスが関与している例を発見したのは、本研究が始めてである。優劣性の謎に迫る一つの手掛かりとして注目されている。 なお、本研究は、独立行政法人日本学術振興会からの科学研究費補助金(学術創成研究費)の助成により成されたものである。 |
![]() 図.メチル化による劣性側の自家不和合性遺伝子の発現抑制のモデル 【図をクリックすると拡大表示されます】 |
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| 【本件に関するお問い合わせ先】 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 細胞間情報学講座 高山 誠司 TEL: 0743-72-5450 E-mail: takayama@bs.naist.jp |
このトピックにつきましては、以下のとおり報道されました。 |
バイオサイエンス研究科 細胞間情報学講座 |
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