平成19年度入学式を挙行

イベント報告 2007/04/19

4月5日(木)、ミレニアムホールにおいて平成19年度入学式を挙行しました。
本学では、国内外を問わず、また出身大学での専攻にとらわれず、高い基礎学力をもった学生あるいは社会で活躍中の研究者・技術者などで、将来に対する明確な目標と志、各々の研究分野に対する強い興味と意欲をもった者の入学を積極的に進めており、このたび、436名の新入生を新たに本学に迎えました。
当日は、生駒市長等を来賓に迎え、また本学入学式では恒例となった茂山家による狂言演能(大蔵流狂言『附子(ぶす)』)を行い、奈良の伝統芸能で盛大に新入生の門出を祝いました。

【入学者数】
博士前期課程 情報科学研究科 145名
       バイオサイエンス研究科 118名
       物質創成科学研究科 97名
博士後期課程 情報科学研究科 36名
   バイオサイエンス研究科 27名
物質創成科学研究科 13名
総計 436名

【安田学長式辞】
本日、奈良先端科学技術大学院大学に入学されました博士前期課程三百六十名、博士後期課程七十六名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。ご来賓、本学の教職員や学生を代表して、心からお喜びを申し上げます。ご同伴の御家族やご友人の皆様にも心からお祝いとお喜びを申し上げます。

本学は学部を持たない大学院大学として一九九一年に開設されました。その背景には、八十年代の情報科学、バイオサイエンスなどの分野を中心とする科学技術が極めて急速に発展したことにあります。従来の大学では柔軟にこの変化に対応できず、これらの分野に係る教育研究体制の整備が課題となっていました。先端科学技術分野は、いづれも、広範な学際的広がりを持っていること、基礎研究における新たな展開が見られること、基礎研究における新知見が短期間に技術開発につながるという特色が見られました。このような先端科学技術分野の発展とそれを支える人材養成のために本学は開学しました。本学は、今年で十六年目を迎えます。この間に、博士前期課程の修了生三千八百三十二名、後期課程六百七十一名の修了生を世に送り出してきました。

科学と技術の一体化、人材養成の必要性などの状況は、益々重要性を増し、社会からの要請は益々加速しています。政府は、科学技術基本計画を策定し、科学技術の重点分野や人材育成を推進しています。まさに、この基本計画は、本学の目的のためにあるような政策です。重点四分野は、情報通信、ライフサイエンス、ナノテク・材料、環境であり、本学の学問領域分野が全て含まれています。

皆さんは、本学に入学後、皆さんの目指す各研究科の研究室に配属され、教育を受け、研究を始めることになります。本学の教員の皆さんの研究はそれぞれ世界トップレベルであり、トップジャーナルや国際学会で発表されています。研究が進展すればするほど、より多くの知識と技術が要求され、専門性が増します。先端科学分野では専門性の幅がますます狭くなり、細分化されているため、専門性の高い知識や技術が研究室の現場ではますます要求されています。しかも、最先端の研究成果は、専門学術誌に日々続々と発表され、最先端の研究テーマを追求するためには、学術論文を日々読み、新たな知識として吸収することが求められます。従って、皆さんも博士前期課程や後期課程の在学中に、雑誌に発表された論文を読み、また国際学会や研究会などに参加し、新しい知識や技術を吸収することが、研究を進める上では大切です。皆さんが専門とする研究分野の知識を吸収し、まず各自が誰にも負けない専門性を身につけることをまず目指して下さい。

しかし、専門性に加え、皆さんの人生や学問の視野を広げるためにも、周りの人の研究にも興味を持ち、積極的に交流してください。皆さんの研究室の同僚や先輩の研究、また同じ研究科でも他研究室の、また異なる研究科の研究も積極的に吸収することをぜひ心がけてください。本学は、歩いて数分以内のところに、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という研究分野の一流の専門家がいます。暇を見つけて、積極的に聞きに行きましょう。

本学は、これら三分野の研究の推進と融合領域へも積極的に取り組むこととし、情報生命科学専攻を設置し、また研究科の枠を越えた共通教育に取り組んでいます。このような環境では、研究科の枠を越えた融合領域の研究やビジネスプランが可能となります。例えば本学では、研究科の枠を越えた研究テーマを募集し、融合領域研究を推進しています。また、昨年は、学生の発案で、本学の研究科の壁のない、フットワークの軽い特性を生かすため、研究科の枠を越えた学生チームによる将来性のあるビジネスプランを募集し、発表会を開催しました。これらのビジネスプランは、「第八回キャンパスベンチャーグランプリ大阪」のコンペでビジネス大賞などを受賞し、本学の学生間の融合的取り組みの目に見える成果の一つです。

皆さんが大学修了後、企業、大学、研究機関などで就職された後に求められるのは、分野を問わず、問題発見能力と問題解決能力、いわゆる知恵です。あるいは企画力とその実行力です。社会で皆さんに要求されるのは、本学で行っていた研究課題を続行することではありません。本学で取り組んだ研究課題を修士論文や博士論文にまとめるまでに養った問題解決の能力を、別の研究課題に応用できる能力です。

本学での研究への取り組み過程で、これからの長い人生の中で出会うさまざまな課題について応用できる能力を養うはずです。大学院では研究室に配属し、研究指導を日常的に受けます。皆さんのこれからの長い人生においても、研究室での毎日寝食を共にする二年間の博士前記課程、あるいは博士後期課程の三年間の日々は、皆さんの人生観を養う、あるいは確立する上で、極めて特異的で意義のある年月になります。終生の友を作るにも最高の場所です。あるいは、研究室を超えての友や、先輩や先生方との絆を築いてください。今後、電話一本で最近の研究動向を聞き、また研究の相談に乗ってもらう、あるいは推薦状をもらえる関係を築いてください。

奈良は日本の最初の首都であり、二千十年には平城遷都千三百年記念の節目を迎えまるきわめて古い町です。当時は中国から仏教を導入し、その真髄を学ぶ日本の学問の中心地でした。また中国から輸入した最新の技術の集積地でもありました。その学問や技術を学ぶ学問寺としての有名な南都七大寺があります。東大寺、興福寺、薬師寺、元興寺、大安寺、西大寺、法隆寺です。東大寺大仏殿や転害門、興福寺の五重塔や東金堂、薬師寺東塔、法隆寺の五重塔や金堂など有名な建物が当時のまま残っており、世界遺産に登録されています。また、中国には残っていない中国からの輸入品や仏典や本が、わが国には元の形のまま保存されています。特に、東大寺の校倉造で有名な正倉院に保存されている聖武天皇の遺品である正倉院御物は特に有名です。毎年十月下旬には正倉院展としてそれらの御物を見ることができます。また各寺には、国宝の仏像、仏画、仏具や重要文化財で埋まっています。

古都には古い伝統が連綿と伝わっています。例えば、東大寺の修二会いわゆるお水取りです。毎年三月一日から十四日まで行われる今年で千二百五十六回を迎え、一年たりとも途絶えたことがない伝統行事があります。お水取りに入る一連の作業は、「二月堂修二会お水取り行法」として、すべて古代からのしきたりに従って行われています。中でも有名なのが、二月堂の回廊を大松明をもって駆け回る行が最も有名です。この松明の火の粉を受けると無病息災になるというので、地元の人に加え観光客で大いににぎわいます。学生でいる間に、研究に疲れた場合に、ぜひこのような古都を満喫し、同時に日本古代の知識も一般教養として吸収してください。

皆さんは研究を通して様々な場で外国の人々と話す機会が必ずあります。その際、ある程度の英会話能力は必要ですが、その話の内容はより重要です。そのために、日本の伝統文化や日本の歴史に関する知識も増やしてください。本学を訪問する外国の人々を古都奈良に案内し、現代の私たちにとっても物珍しい建物、仏像彫刻、さまざまなしきたりなどを説明できることは、つたない英語でも会話が弾みます。人のつながりを広げるには、英語力ではなく、その人の教養や人間的魅力が重要です。歴史があるということは、先人の知恵の集積の場で私たちは生活していることを意味しています。私達は、このような生活環境にいることに自信と誇りともって外国の人々に対処しましょう。また、私たち個人が生きる人生の期間はきわめて短く、あらゆることを経験することは不可能です。歴史から学ぶことが多いと思います。

本日の皆さんは希望や目的に満ちていると思います。人生の目標を明確に立て、学び、研究に従事し、すがすがし気持ちを持続させて大学院生活を充実したものにして下さい。本学で受ける教育や研究の成果が、皆さんの今後の人生を豊かにし、大きな実りをもたらすことを確信しています。グローバル化の進む二十一世紀の時代に、地球の持続と人類の幸福のために、皆さんが世界の舞台で大いに活躍される人になることを確信し、また大いに期待し、皆さんへの私の式辞といたします。

本日は入学おめでとうございます。  

平成19年4月5日
奈良先端科学技術大学院大学
学長 安田 國雄

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