令和2年度 学位記授与式を挙行(2019/9/25)

イベント報告 2019/09/27

 9月25日(水)、ミレニアムホールにおいて学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から修了生一人ひとりに学位記が手渡され、門出を祝して、式辞が述べられました。

 式終了後には祝賀会・記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】

情報科学研究科       19名(うち留学生18名)

バイオサイエンス研究科    6名(うち留学生6名)

物質創成科学研究科      5名(うち留学生5名)

計 30名

【博士後期課程修了者】

情報科学研究科        9名(うち留学生5名)

バイオサイエンス研究科   13名(うち留学生12名)

物質創成科学研究科      7名(うち留学生5名)

先端科学技術研究科      1名

計 30名

【論文提出による博士学位取得者】

情報科学研究科        1名

総計 61名(うち留学生51名)

【学長式辞】

 本日、修士の学位を授与された30名の皆さん、博士の学位を授与された31名の皆さん、学位取得、おめでとうございます。また、この日を迎えられたご家族並びに関係者の皆さんにもお祝いを申し上げます。

 今回は、修士・博士合わせて61名と、9月期としてはこれまでで最も多くの方に学位を授与することができ、うれしい限りですが、その大半の51名は母国を離れて本学での勉学を選ばれた海外からの留学生です。

 本日の学位授与で、本学創設以来の学位取得者数は、修士8,009名、博士1,659名となりました。今年度末には修了者10,000名の大台が期待され、本学の修了生のネットワークが年々広がっています。この中には、修士343名、博士323名の留学生の方々がおられ、修了生ネットワークは益々国際的な広がりを見せています。

 今日、修士の学位を取得された皆さんの中には、後期課程に進学し研究者を目指してさらなる研鑽を積む方と、社会に出てプロの専門技術者あるいは研究者として新しい社会人生活を始める方がいらっしゃいます。また、博士の学位を取得された方の多くは、プロの研究者・技術者としての一歩を踏み出すことになります。

 最近は事あるごと申し上げていることですが、現在、科学技術はかつてない大変革の時代にあり、科学技術の変化とともに、社会も大きく変わろうとしています。

 科学技術に関する最近のキーワードは人工知能(AI)、Internet of Things(IoT)、データサイエンスです。このようなICT技術の進展は、情報科学以外の科学技術分野への影響も顕著になってきました。例えば、バイオサイエンス分野ではバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が既に存在し、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)と呼ばれる新しい研究領域の存在感が高まっています。

 すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、Society 5.0として提唱されている未来社会のコンセプトである、「サイバー世界」と「リアル世界」が高度に融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。

 このような時代認識のもとに、本学は、融合領域の教育プログラムを強化するために、昨年4月に情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3研究科を統合した先端科学技術研究科を設置しました。

 2040年代には、コンピュータの能力が人間の知の総和を越え、シンギュラリティ(Singularity)に到達すると言われており、その頃には、今、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとの予測もあります。

 2040年代というのはどのような時代でしょうか。はっきりしているのは、皆さんの世代が社会の中核を担う時代だということです。

 皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という異なる分野で、それぞれの専門性を磨いてこられたわけですが、これからは、周辺分野にも目を配って広い視野を持つことによって、科学技術と社会の急激な変化に柔軟に対応し、挑戦心を持って常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として飛躍して頂きたいと思います。

 そして、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいくことによって、シンギュラリティを力強く乗り越えて、ご自身の未来を切り拓いていって下さい。シンギュラリティを恐れる必要はありません。あなた方は必ずシンギュラリティを乗り越えて、未来社会において輝ける存在になると私は信じています。

 皆さんが本学で修士論文研究と博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという能力とその過程での経験は大事な財産です。

 この経験と本学在学中に築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの研究者・技術者としての将来を保証すると確信しています。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 最近は、秋のオープンキャンパスに合わせてホームカミングデーを実施しています。また、同窓会が修了生を講師として招いた講演会なども計画されています。今後も、このようなイベントを継続して実施したいと思っていますので、その時には、是非、本学に帰ってきてください。皆さんが将来、在学生の前にロールモデルとして帰って来られることを切に願っています。

 また、修了生ネットワークの中核である同窓会活動に加えて、インドネシアやタイに設置した海外サテライトオフィスなどを通して世界で活躍する修了生の方々との海外ネットワークも強化したいと考えています。最初に述べましたように、今日、学位を授与された皆さんのうち、51名は留学生です。皆さんにもこのような活動に積極的に参加して頂きたいと思います。

 皆さん、本日は学位取得おめでとうございます。最後に、今後の益々の活躍を期待していることをお伝えして、式辞としたします。

令和元年9月25日 

奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

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