令和2年度 学位記授与式を挙行(2020/6/25)

イベント報告 2020/06/26

 6月25日(木)、学際融合領域研究棟2号館1階研修ホールにおいて学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から出席した2名の修了生に学位記を手渡し、門出を祝して式辞が述べられました。

 式終了後には、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

 ※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士後期課程修了者】

情報科学研究科       2名

先端科学技術研究科     1名

計 3名

【学長式辞】

 本日、博士の学位を授与された3名の皆さん、学位取得、おめでとうございます。
3名のうち1名は、母国を離れ奈良先端大での勉学と研究の道を選ばれた海外からの留学生です。

 皆さんの修了で、本学創設以来の学位取得者数は、修士8,332名、博士1,704名となりました。この中には、修士358名、博士341名の留学生の方々がいらっしゃいます。

 今年の1月下旬に、日本で初めての新型コロナウイルス感染が奈良県で確認されてから徐々に全国に感染拡大が及び、感染爆発が危惧される事態となりました。4月上旬には一部地域に「緊急事態宣言」が発出され、4月中旬には対象地域が全都道府県に拡大されたことから、奈良県も1か月近くに渡って緊急事態宣言が続くこととなりました。

 寺田寅彦の言葉に『天災は忘れた頃にやってくる』というのがありますが、日本では、いわゆるスペイン風邪以来の、まさに百年ぶりの大規模な感染症禍です。

  緊急事態宣言が解除されるまでの間、ウイルス感染の拡大を防止するために、大学に対して休業要請がなされ、本学でも『特別な場合を除いて、学生は原則として登校しない』という方針を決定しました。この期間は、まさに、皆さんが博士学位論文の最終仕上げに取り組んでおられた時期です。今年は6月修了者がいないのではないかと思われる時もありましたが、このような状況の下で学位取得に至った皆さんの努力に敬意を表します。

 皆さんは、これから、プロの研究者・技術者としての一歩を踏み出すことになりますが、現在、科学技術はかつてない大変革の時代にあります。この変革の多くは、ハードウェアとソフトウェアの両面での情報技術の革新によってもたらされていると言っても過言ではありません。

 この科学技術の変革の流れは、情報科学以外の科学技術分野への波及が顕著になっています。例えば、バイオサイエンス分野では従来からバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が存在していますが、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)と呼ばれる新しい研究領域の存在感が高まっています。

 すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「リアル世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。

 皆さんは、情報科学とバイオサイエンスという異なる分野で、それぞれの専門性を磨いてこられたと思いますが、これからは、周辺分野にも目を配り広い視野を持つことによって、科学技術の変革に柔軟に対応し、挑戦心を持って常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として飛躍して頂きたいと思います。

 皆さんが本学で博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという能力とその過程での経験は大事な財産です。

 新型コロナウイルス禍による思いもよらなかった苦労も含めて、苦しいこともあったであろう経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの将来を保証すると確信しています。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 最近は毎年、秋のオープンキャンパスに合わせてホームカミングデーを実施していますが、今後も、できる限り、このようなイベントを継続したいと思っていますので、その時には、是非、在学生のロールモデルとして帰ってきてください。ポストコロナの「新しい常態」の中では、オンライン参加の形態も検討したいと思います。その場合には、リアルとバーチャルを融合したホームカミングデーということになります。

 本日は学位取得おめでとうございます。最後に、皆さんの今後の飛躍を期待していることをお伝えして、式辞といたします。

令和2年6月25日 

 奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

NEWS & TOPICS一覧に戻る