
奈良先端科学技術大学院大学は、このたび国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「先端研究基盤刷新事業(EPOCH)」に採択されました。あわせて、文部科学省が実施するEPOCHにおける施設整備事業にも選定されています。全国47件の提案の中から19件が採択され、そのうち施設整備を伴うものは4件であり、本学はその一つです。
本学の提案課題は「意識変容を促すコアファシリティ -集まる研究者・託される技術職員・担う大学への転換-」です。研究設備を大学全体の資産として組織的に担うかたちへ転換し、研究者・技術職員・大学それぞれの役割を捉え直す取組です。本事業は、塩﨑一裕学長をプロジェクト統括として全学的に推進します。
- EPOCH事業について
EPOCH(Empowering Research Platform for Outstanding Creativity & Harmonization)は、第7期科学技術・イノベーション基本計画のもと、全国の研究大学等において、技術職員やURA等の人材を含むコアファシリティを戦略的に整備し、若手を含む研究者が挑戦できる魅力的な研究環境の実現を目指す事業です。研究設備・機器の共用、高度専門人材の育成、研究データの利活用、産業界との連携を通じて、我が国の研究基盤の刷新を推進します。
- 本学の取り組み
本学はこれまで、電子ラボノート(ELN)の全学展開、研究データ管理システムの開発・運用、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)におけるファウンドリシステムの構築などを進め、研究設備・研究データ・研究支援人材を有機的に結びつける研究環境の整備に取り組んできました。
本事業では、これらの取組をさらに発展させ、データを中心に据えた研究基盤(Data-Centric研究基盤)への転換を推進します。研究設備から創出されるデータを、実験条件や試料情報などの来歴情報(プロヴェナンス)とあわせて体系的に蓄積することで、AI for Science時代の研究に活用できる資産とし、研究者が研究活動そのものに集中できる環境の実現を目指します。
その実現に向けて、以下の3つの戦略を推進します。
- 先端装置・データ基盤の高度化
電子ラボノート(ELN)や研究データ基盤を活用し、多様な研究設備を柔軟に連携させる計測環境(マルチモーダル計測環境)を構築します。そこで得られたデータをAIが扱える形で構造化し、AI for Scienceを支える研究環境を整備します。また、株式会社島津製作所、株式会社堀場製作所、日本電子株式会社、株式会社ニコンソリューションズの装置メーカー4社と共同で、計測装置とデータ基盤の一体的な高度化に取り組みます。メーカーの異なる装置を同一のデータ基盤上で扱える環境を整えるとともに、株式会社SCREENホールディングス、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構をはじめとする産業利用者の参画を得て、産業界の計測ニーズが装置開発に還流する産学共創の枠組みを形成します。この環境を求心力として、学内外から研究者が集まる大学を目指します。 - 研究支援人材と研究環境の強化
高度な専門性を有する技術職員の育成・確保を進めるとともに、研究基盤を支える組織体制を強化します。研究者が設備運用やデータ管理を安心して託すことのできる環境を整え、研究に専念できるようにします。 - 地域から全国へ広がる研究基盤ネットワークの形成
奈良女子大学、奈良県立医科大学、奈良工業高等専門学校をはじめとする地域機関や企業との連携を発展させ、全国的な研究基盤ネットワークとの接続を進めます。特に、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構をはじめとする参画機関との連携のもと、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)に集積する大学、研究機関、企業等の強みを生かし、研究設備・技術人材・研究データが循環する研究開発型オープンイノベーション拠点の形成に取り組みます。
本学は、EPOCH事業と施設整備事業を一体的に推進し、研究設備・研究データ・技術人材を大学全体の資産として活用する新たな研究基盤モデルの構築に取り組みます。けいはんな学研都市に立地する研究大学として、地域と全国をつなぐ研究拠点となり、我が国の研究基盤の発展に貢献してまいります。
- 採択概要
・事業名:先端研究基盤刷新事業(EPOCH)
・提案課題名:意識変容を促すコアファシリティ -集まる研究者・託される技術職員・担う大学への転換-
・プロジェクト統括:塩﨑 一裕(奈良先端科学技術大学院大学 学長)
・採択額(当初3年間):20億円(JST事業分)
・事業期間:2026年度~2035年度(10年間)
・参画機関:株式会社島津製作所、株式会社堀場製作所、日本電子株式会社、株式会社ニコンソリューションズ、株式会社SCREENホールディングス、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構、奈良女子大学、奈良県立医科大学、奈良工業高等専門学校、奈良県立畝傍高等学校