せんたん Jan.2013 Vol.21

せんたん Jan.2013 Vol.21 page 23/28

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NAISTOB・OGに聞く和泉順子(いずみみちこ)法政大学国際文化学部専任講師Profile : 2003年度博士後期課程修了(情報科学研究科インターネット・アーキテクチャ講座)勉強不足を補うため(かなり真剣に)本を読む時間....

NAISTOB・OGに聞く和泉順子(いずみみちこ)法政大学国際文化学部専任講師Profile : 2003年度博士後期課程修了(情報科学研究科インターネット・アーキテクチャ講座)勉強不足を補うため(かなり真剣に)本を読む時間が増えましたM . I z u m i構築するために学ぶ価値基準を自分の中に自分で判断できるN AISTには、1998年に博士前期課程に入学して以来、博士後期課程、ポスドク、助教として14年間にわたり在籍していました。この間に情報通信技術とその利用環境は大きく変化しましたが、それを意識しながら最先端の機材と素晴らしい環境で「インターネット上における実空間情報の流通制御手法に関する研究」を続けることができたのは、大変貴重な体験でした。入学当初はNAISTにこんなに長期間在籍するとは思っていませんでしたが、予想以上に楽しく、多くの重要なことを学べました。私は学部時代を私立女子大で比較的のんびりと過ごしていたため、まず入学後の環境変化の大きさに戸惑いました。夜になっても(夜が更けるほど)研究室に活気があり、情報通信技術に関する知識に乏しかった私に研究室の先輩や同期の友人たちが半ば呆れつつ「寮生だから帰るのが明け方になっても大丈夫だよね」と面倒をみてくれたおかげで、なんとか環境に順応できました。この教わるだけという状態から、徐々に自分で調べて試してみる度胸がつき始め、研究室内の他の研究に取り組んでいる人とも積極的に話をすることで、自分の思い込みや工夫の余地を見つけられるようになってきて…、と一歩ずつ前に先輩・後輩がいつも大勢いた「研究室」から、また大きく環境が変わりました進む方法を学ぶことができたため、進路を考える頃にはもう少し研究というものをやってみたい、と思えるようになりました。また、研究テーマ自体は一貫していましたが、入学当初の情報科学センター湊研究室、砂原研究室だけでなく、インターネット工学講座、ソフトウェア設計学講座などいろんな先生方にご指導・ご助言をいただく機会に恵まれました。さらに博士後期課程のうち一年間は、他大学の研究員としても活動したほか、産官学連携プロジェクトや学会、標準化など多様な学外での活動に柔軟に参加させていただき、多くの人との意見交換や議論を通じて最先端技術の研究開発だけでなく、必要な技術を社会に普及させるための教育や社会環境の必要性も実感できました。NAISTで助教として勤務している間に、学んだことを活かして教育を含む技術環境づくりに携わることを考え、大学教員公募に応募し、2012年度から、法政大学国際文化学部に勤務しています。情報科学の基礎を知らなくても情報端末は操作でき、インターネット上のサービスも楽しく利用できます。しかし、大まかな動作原理や仕組み、またサービスを利用する上でのリスクや脅威を知らなければ、問題が起きたときの必要な対応が判断できません。情報科学関連の講義をしていると「これが何の役に立つのですか?」と聞かれることもありますが、その答えを他人に用意してもらうのではなく、自分で判断できる価値基準を自分の中に構築するために学ぶということも、同時に伝えていきたいと思っています。SENTAN22