せんたん Jan.2013 Vol.21

せんたん Jan.2013 Vol.21 page 24/28

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概要:
Y . T a k a h a s h i国際感覚を養うことができた研究者としての経験、チャンスとともに、自分の価値を高める非この研究がしてみたいです」。大学4年生の時に進学先の大学院を模索していた最中の私が、英科学誌「N....

Y . T a k a h a s h i国際感覚を養うことができた研究者としての経験、チャンスとともに、自分の価値を高める非この研究がしてみたいです」。大学4年生の時に進学先の大学院を模索していた最中の私が、英科学誌「Nature」を手に植物分子遺伝学講座の島本功教授に会いに行ったのがNAISTに入学するきっかけでした。その雑誌には、島本先生が報告したイネの花芽が作られる花成時期の決定に関わる分子機構を解明した論文が掲載されていました。その当時、私は脳細胞を扱う研究室で卒業研究を行っており、たまたま置いてあった「Nature」に報告されていた論文をみて、生意気にも「植物でも結構面白い研究が出来るんだな」と目を開いたことを今でも覚えています。さらに、植物研究の事などほとんど知らなかった私が訪問した際に、熱心にイネの花成メカニズムの研究の面白さを語ってくださった島本先生に共感し、NAISTへの進学を決意しました。その後、2004年にめでたく私はNAISTに入学し島本教授の植物分子遺伝学講座で念願のイネの花成誘導の研究を行いました。2009年に博士の学位を取得した後に同研究室でのポスドクを経て、ドイツのマックスプランク植物育種学研究所に移り、ジョージ・クープランド教授のグループに入り、約2年間ポスドクとして花成誘導機構の研究に携わっていました。現在は、ダウ・ケミカル日本株式会社ダウ・アグロサイエンス事業部の研究開発本部「是ドイツでは研究の合間にハイキングをしてましたで主に遺伝子組み換え作物に関する認可取得業務に携わっています。私は進路先として、基礎研究分野のみにとどまらず、産業に近い分野にも興味があったため、これまでの経験を生かせる職場として民間企業を含め幅広く探していました。入社に至ったのは、ドイツにいる時に、島本研時代の先輩から現在の会社の求人情報を教えてもらったことが大きなきっかけとなりました。現在の仕事の内容は、自社の種子によって作り出された遺伝子組み換え作物の日本における流通の承認に際して、環境への影響や食品及び飼料としての利用に関する安全性の評価に関わる書類を作成しています。このような業務を遂行するにあたっては、分子生物学的な専門知識を必要とするため、これまでにNAISTで学んできた知識を最大限に生かせる職場であると思います。NAISTは私にとって、自分の価値を高めるチャンスを与えてくれる場所でした。研究における経験や実績はもちろん、バイオサイエンス研究科の教育プログラムによる国際学会での発表や海外研究室への訪問、そして米カリフォルニア大学デービス校や中国科学院の学生らと交流をする機会を経て、有用な実践英語の経験や国際的感覚が養われました。これらの経験は、卒業後のドイツでの研究活動や現在の米国系企業での仕事に特に生かされていると感じています。最後に、NAISTで研究する機会をつくってくださった島本先生、お世話になった研究室のメンバー、そして研究生活の苦楽を共に支えあった友人達に感謝したいと思います。本当にありがとうございました。現在の職場にてNAISTOB・OGに聞くダウ・ケミカル日本株式会社ダウ・アグロサイエンス事業部Profile : 2009年度博士後期課程修了(バイオサイエンス研究科植物分子遺伝学講座)髙橋靖幸(たかはしやすゆき)23 SENTAN