せんたん Jan.2013 Vol.21

せんたん Jan.2013 Vol.21 page 25/28

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NAISTOB・OGに聞く川部琢磨(かわべたくま)ダイキン工業株式会社化学研究開発センターProfile : 2007年度博士後期課程修了(物質創成科学研究科高分子創成科学講座)フッ素化学を楽しみながら日々、仕事に取り組んで....

NAISTOB・OGに聞く川部琢磨(かわべたくま)ダイキン工業株式会社化学研究開発センターProfile : 2007年度博士後期課程修了(物質創成科学研究科高分子創成科学講座)フッ素化学を楽しみながら日々、仕事に取り組んでいますT . K a w a b e創出したい世の中の役に立つ材料を企業で新しい分野に挑戦し、大学院での経験を糧に学生の時に偶然読んだ科学誌に紹介さ大れていた分子構造の骨格をなす主鎖の構成元素がケイ素(Si)原子のみのポリシランと呼ばれる高分子の存在に興味を持ちました。単純に「面白い高分子だな」と思った私は、当時、物質創成科学研究科高分子創成科学講座の藤木道也教授が研究されている事を知り進学先をNAISTに決めたのです。2003年4月に入学後は、内藤昌信先生、藤木道也教授の指導のもと、ケイ素原子中心の研究生活を5年間させていただきました。主な研究テーマはポリシラン共重合体という高分子に関する研究をベースに、「様々な事に興味を持ってチャレンジする」という講座の研究方針に添って、ポリシランとは違った構造のケイ素高分子や低分子ケイ素化合物を重合・合成し、船底塗料の開発、発光性材料への応用など様々なテーマを研究させていただきました。博士後期課程終了後は、空調事業と化学事業が共存するというユニークな企業であるダイキン工業株式会社に就職し、化学研究開発センターに所属しています。いま手掛けている商品はフッ素(F)化学製品で、大学院でケイ素という特異な元素を扱っていた私は、さらにフッ素という特異な研究分野に場を移して新しいフッ素樹脂商品の研究開発を行っています。振り返ってみると、現在の企業の製会社の先輩・同期と一緒にマラソンしています品開発の実践の現場での研究スタンスには、大学院で身につけたことがそのまま活かされている様に思えます。大学院の研究生活では、講座の先生をはじめ他講座の先生・先輩・仲間たちと研究について熱く議論させていただきました。テーマに関する課題や実験結果はもちろんのこと、実験手法、測定原理から結果の導き方やその妥当性など細かな点まで、とことん話しました。ときには原理の数式を用いて何時間も話し合うこともあり、今では楽しい思い出になっています。様々な人との議論を通じて、研究の本質は何か、実験からどのような結果を導きだせるかなど研究者として基本的に必要な研究姿勢や多面的な物の考え方を学ばせていただきました。そして、研究の楽しさを知ったことも私の財産といえます。大学から企業に入社して学生の時の研究が直接活かされることは稀だとよく聞きます。私自身も研究分野は異なっております。しかしながら、学生のみなさんには前向きにとらえていただきたいと思います。なぜならば、自分が経験してきたこと、培ってきたことを新しい分野で活かせる可能性があるからです。私も、大学院での経験を糧に企業で新しい分野に挑戦し、世の中の役に立つ材料を1つでも創出したいと思いながら日々研究しています。NAISTの学生のみなさん、またこれから大学院に進む人は多くの人と議論して、自分の考え方に深みを増していっていただきたいと思います。そして、色々な事に臆せず挑戦して自分の夢に磨きをかけていってください。SENTAN24