せんたん Jan.2013 Vol.21

せんたん Jan.2013 Vol.21 page 9/28

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ける人材」特別講演グローバル人材育成と教育の国際化世界の学生の留学状況を見ると、1975年は80万人だったのが2009年には367万人と4倍以上増えています。しかし、日本人の留学生は減っていて、2004年の8万3000人を....

ける人材」特別講演グローバル人材育成と教育の国際化世界の学生の留学状況を見ると、1975年は80万人だったのが2009年には367万人と4倍以上増えています。しかし、日本人の留学生は減っていて、2004年の8万3000人をピークに、09年には6万人を下回りました。少子化や企業の学生派遣の減少が原因などの意見もありますが、中国をはじめ、米国、インドなどが海外に派遣する学生を増やし、国際的な人材の育成を重視する中で、日本の傾向は不安です。この現象について「学生が内向きになった」と言われますが、それだけではありません。米国の授業料の高騰など経済的なハードルがあります。日本での就職活動の時期のずれや、採用の際に留学経験がどう評価されるかといった問題も大きく、企業の課題でもあります。それから、秋入学が論議されるように、日本と他の国の大学との学事暦の違いもあります。日本人の語学力が低いこともあります。こうした状況に対し、国際的に通用するように教育の質を向上させ、柔軟性、多様性を持ったグローバル化に対応できる人材を養成する教育システムや社会システムを考えることこそが大学改革の中で非常に重要な柱であると思います。政府が6月にまとめた「グローバル人材育成戦略」によると、グローバル化に対応する人材にとって語学力、コミュニケーション力は重要だが、むしろ課題を自ら見つけて取り組む主体性、積極性、チャレンジ精神であったり、考えの異なる人と連携、協調できたり、多様な環境に対応できる柔軟性であったりと、これから変化する社会の中で生活し、多様な人たちと仕事をしていく中での極めて大切な要素が基本的にあるとしています。中央教育審議会は8月に、「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け主体的に考える力を育成する大学を」という答申を出しました。これによると、たとえば、日本の学生は、授業にはまじめに出ていても、授業以外の読書や議論など主体的な学習時間が1週間当たり5時間以下の学生が3分の2もいて、アメリカの15%に比べても、受動的な学習パターンが多い。自分で主体的に考えて行動できる力をどのように育成していくかが、大学教育の重要な柱として求められるところでしょう。奈良先端大のような大学院大学でも、このような質的転換が求められているのです。研究教育がますますグローバル化し大きく変化していく中で、イノベーションをどう創出していくことができるか。そういうことを考えていくときに、大学院の役割は大きく、とくに、欧米に比べて層が薄い博士人材の育成に力を入れていかなければならないという状況があります。大学院において、創造的に活躍できる人材をどう育てていくか。そのための深さ(専門性)とともに広さ(幅広い知識)がある知識を持ち、さまざまな人たちと協働してチームを組んで研究成果を挙げられる力をどのように築いていくかということも、1つの大きな課題として意識していくことが必要になってくると思います。文部科学省高等教育局長板東久美子氏ばんどうくみこSENTAN08