せんたんvol.21

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知の扉を開く物質創成科学研究科環境にやさしく、しなやかな有機エレクトロニクスに挑む物質創成科学研究科グリーンデバイス研究室中村雅一特任教授松原亮介特任助教どこにでも作れるコンピュータやテレビなど家電、....

知の扉を開く物質創成科学研究科環境にやさしく、しなやかな有機エレクトロニクスに挑む物質創成科学研究科グリーンデバイス研究室中村雅一特任教授松原亮介特任助教どこにでも作れるコンピュータやテレビなど家電、携帯電話、自動車などさまざまな製品の主要な電子部品である半導体。高度で便利な製品が登場するとともに、半導体部品はより微細で複雑な構造を実現する形で要求に応えてきたが、技術的な限界も見えてきた。そうした状況の中で中村特任教授らの研究室は、新たに大きな流れとなる有機化合物を材料にしたエレクトロニクスの研究を続けている。中村特任教授によると、有機化合物は柔らかくて加工しやすいので、環境に負担をかけず低コストで製造できる。材料をフィルムの基板に塗布したり、印刷したりして薄膜の半導体を作れば、どこでも使えるしなやかな電子部品になる。また、環境中にある未利用のエネルギーから電力を得るための新たな電子部品を創りだすこともテーマの一つ。特定の有機薄膜が使えるかどうか、電子的な物性を評価する世界唯一の装置を開発して未知の機構を明らかにするとともに、有機熱電変換素子や有機太陽電池などへの応用研究も進める。「環境への負荷を少なくし持続可能な社会を守るとともに新産業を起こすという両方の課題に貢献できます。有機エレクトロニクスは製造のエネルギーが小さいうえ、軽量で柔軟な製品ができれば、輸送のエネルギーも少なくて済む。さらに、新技術で必要になった電力需要も新技術でまかなえばよいでしょう」と中村特任教授は断言する。そして「机や衣服など衣食住に関するものすべて(anysurface)にエレクトロニクスの機能を加えていけば、いままでできなかったものができるようになる」と予測する。世界最高の分解能中村特任教授らの最近の成果を紹介しよう。中村雅一特任教授材料の評価の研究では、「ペンタセン」という有機化合物を材料にしたトランジスタの特性を調べる装置「AFMポテンショメトリ」を松原特任助教らと独自開発した。この装置は半導体薄膜内部の電位分布(電子の平均水面)を10ナノメートル以下の分子レベルの大きさも見分けられる世界最高の空間分解能で計測できる。この結果、内部で電気が流れる詳細な仕組みについて、これまで仮説による理論計算で推測するしかなかったものを、直接測定することで解明できた。松原特任助教は「試料を測定するさいに装松原亮介特任助教11 SENTAN