せんたんvol.21

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TOPICS最新の研究成果バイオサイエンス研究科分子神経分化制御研究室中島欽一教授藤元祐介さん(特別研究学生)ヒトiPS細胞から新規誘導法を使って脊髄損傷の治療に応用、マウス実験で回復~安定した分化細胞選抜、....

TOPICS最新の研究成果バイオサイエンス研究科分子神経分化制御研究室中島欽一教授藤元祐介さん(特別研究学生)ヒトiPS細胞から新規誘導法を使って脊髄損傷の治療に応用、マウス実験で回復~安定した分化細胞選抜、腫瘍形成見られず再生治療のさらなる実現に期待~バイオサイエンス研究科分子神経分化制御研究室特別研究学生の藤元祐介氏、中島欽一教授らは、英国ケンブリッジ大学オースティン・スミス教授らと共同研究を行い、ヒトiPS細胞から今までとは異なる方法によって誘導した神経上皮様幹細胞(神経幹細胞の一種)を脊髄損傷モデルマウスに移植し、運動機能の回復を得ることに成功した。この方法は培養のさいに細胞を浮遊させるのではなく、培養皿に接着させて有効な細胞を選抜しやすくするもので、これにより移植した細胞の多くは、損傷脊髄を修復するのに有効と思われるニューロン(神経細胞)に分化した。また、臨床応用の際の大きな課題とされている腫瘍形成も見られなかった。さらに、この細胞を移植したマウスでは半分以上が体重を支えて歩けるまでに回復したのに対し、移植しないマウスではここまでの回復を示したものはいなかった。こうしたことから、今後のヒトiPS細胞を用いた再生治療の実現に向けて重要な意義を持つと思われる。この研究成果は2012年3月14日付けの「STEMCELLS」誌に掲載された。体細胞初期化遺伝子浮遊培養ヒトiPS細胞接着培養選別ニューロスフェア損傷脊髄神経上皮様幹細胞分裂/増殖新規誘導培養法による損傷脊髄への細胞移植従来の浮遊培養ではなく、細胞を培養皿に接着させて選別し、移植に用いた治療を行っていないマウス(左)の多くは体重を支えて歩けなかったのに対し、移植治療群(右)は半分以上が体重を支えて歩けるまで回復した中島欽一教授藤元祐介さん物質創成科学研究科高分子創成科学研究室藤木道也教授高分子の鏡像対称性の破れと反転現象を発見~オレンジなどの精油を溶媒に使い、無触媒、常温常圧、10秒で左右の高分子が自然に発生~物質創成科学研究科高分子創成科学研究室の藤木道也教授らは、鏡像体ができるはずがない光学不活性な分子(ポリシラン、ケイ素プラスチック)を、オレンジなどの香料分子であるリモネンのオイルに混ぜ、さらにアルコールを常温で加えて10秒かき混ぜるだけで、光学活性高分子が収率100%で自然発生することを発見した。リモネンの体積比を2%から60%にすると、光学活性が1回から3回反転した。この現象は1953年に提唱されたF.C.フランクの鏡像対称性の破れと増幅理論では説明がつかないため、新理論の登場が待たれる。プラスチックは世界で年間2億6000万トンも生産されている。今回、ケイ素系プラスチックの分子量を3万から10万程度にそろえ、リモネンを溶媒として混ぜるだけという驚くほど簡単な操作で、誰にでも光学活性高分子ができる可能性がでてきた。本手法を適用すれば、液晶藤木道也教授フィルム、高純度医薬品の製造、反射防止光学フィルター、医療用器具など、高付加価値で高機能・高性能の光学活性高分子が低コストで得られ、また使用したリモネンは再回収して何度でも利用できるため、国際競争力ある製品作りに向けた設計指針となることが期待できる。この研究成果は2012年2月10日付の英国科学誌「Chemical Communications」(オンライン版)に掲載された。リモネンポリマー分子を溶かした溶液ポリマー分子を沈殿させるアルコールリモネンの分量だけでラセンの向きが左右へスイッチする高分子作り方(室温、10秒間、撹拌するだけ)13 SENTAN