せんたんvol.21

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「恐れずに、何でも果敢に飛び込むことが大切」ー石井氏巻頭対談いますが、そのような社会のニーズにも合わせるようなプログラムが必要でしょう。石井氏奈良先端大で理学部的な基礎科学の要素があるのは、どの研究科....

「恐れずに、何でも果敢に飛び込むことが大切」ー石井氏巻頭対談いますが、そのような社会のニーズにも合わせるようなプログラムが必要でしょう。石井氏奈良先端大で理学部的な基礎科学の要素があるのは、どの研究科ですか。畚野氏物質やバイオは、かなり基礎科学の分野を手掛けています。情報の研究の場合は情報科学という分野の中では基礎的ですが、全体的にみると非常に社会に近い部分です。と言うのは、情報の分野は、90年代前半から、インターネットや携帯電話による社会システムのイノベーションを起こしました。それには何十年という基礎研究の積み重ねがあったのですが、そこから情報科学が社会生活と密接な関係を持ちながら発展しているという意味です。だから、3研究科で、どうすれば一番効率的に協力し合っていけるか、これをもう一度考えなければいけない時期にあります。石井氏基礎科学と言っても、いろんな意味がありますね。基礎医学の研究内容やその方法と、生物学の基礎科学研究とは違います。私の専門は歴史学の一分野である法制史であって、本来は人文系に属しますが、身分的には法学部の中にいて研究してきました。法学部の中には、このほかに、法や政治に関する哲学、社会学といった、文学部にもある学問を専門にしている人たちもいる。しかもかれらは、文学部の史学、哲学などとは違う視点で研究をしていて、両方ともそれぞれ存在理由があり、また、違っていることの意義があります。だから、同じ基礎的学問であっても、理学部の研究とは異なる多様性があることを理解しなければいけないと思います。奈良先端大は3研究科なので、総合大学と異なり、人的にも組織的にも、その違いを実感する可能性が薄いところがあるのではないでしょうか。いま、私はファンディングエージェンシー(研究費配分機関)の一つである、日本学術振興会の仕事もしています。そこでは基礎的な学問の発展にとってプラスになる研究費配分のシステムを考えるために、「学術システム研究センター」が設置されています。そのセンターの発足当初は本当に小所帯で、理系や人文・社会系の先生方と私だけで議論しながら、立ち上げの仕事をやりました。最初は、それぞれの委員の学問の性質が議論の中に出てきて、なかなかかみ合わなかったのですが、次第にお互いの意見を寛容に聞くことができるようになりました。とにかく聞こうとする姿勢が大事なのですね。ー奈良先端大は奈良県のけいはんな学研都市にあります。そのような地理的環境は今後、どのように生かせばいいのですか石井氏けいはんな学研都市は大阪、京都の大学の近くにあり、それぞれの大学には、学問や思考に多様性があります。それを知識として知るだけでなく、自分の知らない世界の人たちが何を問題にし、何に取り組んでいるか、折に触れて茶飲み話などをしてでも体感することです。私が東京大学の総長補佐をしていたときに出席した会議の経験は貴重でした。さまざまな分野の総長補佐が10人ぐらい参加します。正式の会議で議論を一時間半ほどして、そのあと飲み会で再度、白熱した議論を展開し、ブレーンストーミングする。そこが大事なのです。奈良先端大と他の大学との交流も型どおりではなく、できる限り交じり合うことです。ただ、奈良先端大は頻繁に交流するには他大学や都心部から少し離れていて地理的に孤立し易いという問題がありますが。畚野氏そうですね。実際、本学の職員の宿舎、学生の宿舎はものすごく完備しています。ほとんどの若手研究者、学生は日常、自分の研究室の付近でしか動かない。最初からその生活パターンが好きだというのではなくても、周囲に飲食店すら少ないキャンパスの環境からも外に出て、人と交じり合うのが億劫になる生活習慣が付いてしまうのじゃないかと心配はしています。これまでも学研都市内では、本学とATR((株)国際電気通信基礎技術研究所)などの研究所とは20年近くにわたって密接な関係を築き、「けいはんな連携大学院」に代表されるような努力もしてきました。「けいはんな」の実質的な中核大学である本学は奈良県側、主要な研究機関が集積するセンター地区は京都府側にあり、この両地区の協力、密接な連携が不可欠でしょう。物理的な府県境の谷だけでなく、府県の温度差が気になります。ー一方で科学研究のグローバル化も進んでいますが、その中での研究の姿勢はどう変わればいいのでしょうか畚野氏理系では昔、「本邦初演をやる」と03 SENTAN