せんたんvol.21

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いう先生が多くいました。外国ではすでに行われている研究だが、国内で行うのは初めてというもの。グローバル化の時代では、それが許されなくなっただけだと思います。特別な研究テーマの選び方はなく、成果の質で決....

いう先生が多くいました。外国ではすでに行われている研究だが、国内で行うのは初めてというもの。グローバル化の時代では、それが許されなくなっただけだと思います。特別な研究テーマの選び方はなく、成果の質で決まる。あえて言うなら、世界でいま問題になっている、あるいはこれから問題になるようなテーマを選ぶこと。だから、本学で研究を始めた京大の山中伸弥教授のiPS細胞の成果は、その意味でセンスが非常に良かったと思います。石井氏文科系では、理科系ほどはっきりした評価基準があるわけではありません。違う意味で、ネット社会といった構図のなかで、われわれ法律系の考え方も非常にグローバル化しているわけです。理系の奈良先端大の研究はすでに世界的な評価を得ているものもあります。先ほどからお話ししている学問や文化の多様性を重視し、理解する複眼的な見方によって育まれる着想や方法論はグローバル化の時代に役立つでしょう。ーその中でコミュニケーションのツールとしての英語の習得は不可欠ですね石井氏英語は国際語として必要です。かつてのようにドイツ語やフランス語が特定の分野で幅を利かせる時代ではなくなってきています。畚野氏理科系の場合は、教育研究でやりとりする時にそれほど難しい表現はありません。実際、英語が母国語でない外国人の英語は、本当にひどいものもあるのですが、それでも英語圏の人にはすべて理解できる。だから、うまく話す必要はないけれど、自分から話そうとしないのは良くないのです。かつて日本の大学などに外国人があまり在籍していない時代に、外国人が見学に来ると英語で説明しなければならない。これを日本人研究者は一番嫌がった。周囲の日本人から英語力についてあれこれ言われるからです。それでも、最近は身近に外国人研究者が増え、誰でも気後れせず話せるようにはなってきました。ただ、問題は、若い人にたくましさがなくなって、海外に出て行かなくなったことです。私の場合は、米国の資金を得て、72年に米国立科学アカデミーの研究員として渡航しました。今の学生は留学資金を援助しても海外に行きたくない人が増えています。それが一番心配です。とにかく英語が不得手でも乗り込んでいく前向きの気力が必要です。日本人はもともと引っ込み思案ですが、昔は外国に行くしか新しい研究ができなかったから、行っていました。今は、手取り足取りの環境で甘えすぎのところが見受けられます。石井氏畚野先生のご指摘は大事な問題です。英語の学習は今の日本ではどこでもできる。日本にいる外国の研究者や留学生とのコミュニケーションでも身につけられる。外国人に対して恥をかくのは気にならないというのなら、一人で行けばいい。集団で行く武者修行はなく、まさに単独でいろんな体験をして鉄人になっていくことなのです。ーそこで、若手研究者に望むことは石井氏国を頼るな。大学を頼るな。友達を頼るな。それで、友達の前で恥をかくことを恐れるな、ということですよ。自分の経験を申し上げますと、私は60年代、30歳前後で初めてドイツに留学しました。その時は、はじめ2カ月ぐらいドイツ語の学校でトレーニングを受けるのですが、その後、本来の留学の目的の大学へ行ってからも、私は、早くドイツ語を上達しようとわざわざ頼んで学生寮に入れてもらった。そこで最初に困ったのは電話当番。ワンフロアーに一台しかなかったので、交代で番をして電話を取り次ぐのですが、かかってきても、誰にかかってきたのか人の名前がなかなか聞き取れない。部屋の番号を聞けばいいことに気づいて、ようやく聞き取り、連絡する。そのようなことから始まって、共同の台所で自炊する際に話しかけるなど1年間続けたおかげで、あとは語学の面で楽になりました。まさに何でも果敢に飛び込むことですよ。畚野氏私も最初に渡航した時は、夜間の高校で英語を外国語とする人たちのコースに入り勉強しました。そこでさまざまな人と出会い、コミュニケーションも深まりました。語学の例だけではなく、極端な例かもしれないが、本来研究は自分でするもの、自分の頭で考えるものなのに、今の若手には指示待ちの研究者が多くなったというのが心配です。やはり、積極性、たくましさを持つことが大切です。「積極性、たくましさを持て」ー畚野氏SENTAN04