せんたんvol.21

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横よこ田たあ明きほ穗教授バイオサイエンス研究科長バイオサイエンス研究科は、2012年が設置20周年に当たります。そこで次代の理念を構築するため、旧来の学問体系を組み換え、バイオサイエンス専攻として「植物科学....

横よこ田たあ明きほ穗教授バイオサイエンス研究科長バイオサイエンス研究科は、2012年が設置20周年に当たります。そこで次代の理念を構築するため、旧来の学問体系を組み換え、バイオサイエンス専攻として「植物科学」「メディカル生物学」「統合システム生物学」の3つの大きな領域を設定しました。それぞれの領域で社会の要請がある重要な研究を行い、世界をリードする学生の教育を手掛けようという目的です。「植物科学」は、グリーンイノベーションに貢献するもので、これまでも高度な研究が維持され、一つの大きな拠点として「植物科学グローバルトップ教育推進プログラム」など重要なプロジェクトに加わっています。それには教員だけではなく、参加する学生の研究も十分に組み込まれる。こうした新しい研究教育の在り方は、おそらく今後の20年の私たちが進む方向の一つになるだろうと思います。「メディカル生物学」は高度な医療科学、医療分子生物学の分野です。神経、器官・組織などの発生科学の研究や、山中伸弥京都大教授が本学に在籍したころから始まっているiPS細胞やES細胞、各組織の幹細胞などの研究が進展しているので、そのような成果が連携しながら大きな研究の流れになるでしょう。そして「統合システム生物学」は情報生命科学を駆使する研究分野。小笠原直毅教授が先端科学技術研究推進センター長として10年先を見据えた教育研究の方向を示すプロジェクトの策定を提案、検討に入ったところです。このように3領域ともさまざまな未来型の融合研究が生まれると期待しています。教育に関しては、国の施策の柱でもあるグローバル化に力を入れており、国際的な研究課題の解決に貢献できるような卒業生を社会に送り出したいと思っています。23年度まではグローバルCOEプログラムの資金があり、その活動の一つとして国際展開を行ってきました。今後も公募の資金などを得て、学生や博士研究員(PD)支援のレベルを維持して続けていきたい。本研究科の特徴は、すべての研究室の研究内容が分子生物学を基板にしており、大型の研究機器については、必要な機種がほぼ共通しているので、研究室個別ではなく研究科全体の予算を組んで効率的に購入して基盤を整備していることです。その機器を維持するための技術者の養成や教員の雇用も行っており、最先端の機器の導入に付随して生まれた新たな技術の成果も蓄積されています。他大学にはない強みで、その論文が英科学誌「NatureCommunications」に掲載されるなどプラスアルファの効果が多く出ています。YOKOTA AKIHODAIMON HIROSHI昨年の東日本大震災、福島第一原発の事故以降、大学の研究に関する認識も相当変わってきています。第4期科学技術基本計画などにも盛り込まれているように「安全・安心な社会の構築」が最重要課題になり、「持続可能な社会の発展」にも力を入れる必要が出ています。こうしたことを踏まえ、研究科としては新たな研究グループを発足させるなど取り組んでいます。「持続可能社会」については、昨年から、「グリーン・フォトニクス(環境のための光科学)」という文部科学省の特定研究プロジェクトが走っており、新たに「グリーン・マテリアル(環境のための新物質開発)」など四つの特定課題研究室を発足させ、多くの成果が出てきています。「安全・安心」、「健康で豊かな社会」というテーマに関連しては「生命光科学」というプロジェクトを申請しています。原発の事故以来、放射線被爆によるがんの増加に対する不安がありますが、がんの治療を含め新しい光治療を目指して、医療関係にまで広げた研究グループを立ち上げ、国民の健康に寄与します。また、本学は、けいはんな学研都市(関西文化学術研究都市)内にあり、研究科には連携研究室があって産業界との連携は非常に密です。このようなことを通して産業界に寄与し元気づけられるような研究教育を進めるべきだと考えています。来年度からは、大阪市立工業研究所と連携研究室をつくる予定で、地域産業に対する貢献が広がっていくと期待しています。教育については、グローバルに人材を教育するという意味で、博士後期課程は英語だけで修了できるコースをつくっていて、留学生を受け入れやすい。さらに、研究科独自で年間2人の留学生に奨学金を与える制度を創設し、大学の留学生特別支援(年間2人)と合わせてサポートしています。また、博士後期課程1年生は、学術交流協定校である米国のカリフォルニア大学デービス校で、英語研修と研究室滞在を行っていますが、米国からも学生に来てもらおうと、同校と共同で行う教育プロジェクトを申請しています。さらに、研修できる海外の協定校も増やしています。なんといっても本研究科の研究環境は日本一です。国内でもっとも新しい研究科なので、最新の設備がそろっています。それだけでなく、設備を操作する技術職員が充実しているところも他大学とは違う特色だと思います。優秀な人を引きつけるという最高の研究環境の維持、発展には、常に努力しています。大だい門もん寛教授ひろし物質創成科学研究科長SENTAN06