せんたんvol.21

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知の扉を開く情報科学研究科開発工程を追跡し、高品質のソフトづくりを支える情報科学研究科ソフトウェア工学研究室松本健一教授門田暁人准教授トレーサビリティが課題コンピュータのソフトウェアは、高度情報社会を....

知の扉を開く情報科学研究科開発工程を追跡し、高品質のソフトづくりを支える情報科学研究科ソフトウェア工学研究室松本健一教授門田暁人准教授トレーサビリティが課題コンピュータのソフトウェアは、高度情報社会を支えるインフラとして、産業の生産効率を高め、生活の便利さや安全・安心を推進する役割を担っている。それだけに、一旦、システム障害が起きると、金融機関のATMのトラブルなど身近な場面でも大きな影響が出てしまう。多様なソフトが使われ、複雑で膨大なデータの処理が急増する中、新たなソフトの開発から実際に利用するまでの間にどのようにして信頼性を獲得するか。それを支援する理論の構築や技術開発がソフトウェア工学研究室の主要なテーマだ。ソフト開発の大まかな手順は、まず、新たなアイデアを思いつくと、具体的にどのような機能を盛り込むべきかを分析し、設計する。次いで、その仕様に基づき、分担してプログラムを作るが、その途中でねらい通り動くかを確かめるレビューやテストを繰り返す。この後、完成したソフトを実際に使用したり、要求に応じて機能を追加、変更したりするときもテストする。「ソフトウェア研究の評価は、新しいアイデアがあるか、その性能を裏付ける実証的なデータがあるか、そこに学ぶべきところ(役に立つもの)があるか、の3つがポイントです。その中で難しいのが、実証的なデータ(証拠)に基づいて議論する段階。ソフト開発は、ハード(コンピュータ本体)のように物理現象を扱うのではなく、すべて人間の活動による作業なので、決められた通りに行われていることを確認する必要があります。ソフトが正しく作られていることの証拠になりえる事実をどのように設定して集めるか、非常に苦労します」と松本教授は説明する。そこで、大きな課題になってきたのが、ソフトのトレーサビリティ(追跡可能性)だ。どのように作られてきたかがわかるように、ソフトの仕様書や変更履歴、テストや障害発生の記録などを互いに関連付け、参照して確認できるようにしておく。松本教授は文部科学省「次世代IT基盤構築のための研究開発」のなかで「ソフトウェア構築状況の可視化(見える化)技術の開発普及」領域の代表を務め、履歴を追跡できるように実証データをソフト製品に添付する「ソフトウェアタグ」の研究に取り組んでいる。松本健一教授門田暁人准教授07 SENTAN