せんたん vol.21

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知の扉を開くバイオサイエンス研究科遺伝子を網羅して保存生命の営みに関わる個々のタンパク質自体の構造や機能は、それを生み出すゲノム(遺伝情報)の解析からかなりわかってきた。ところが、「生物体に含まれる部....

知の扉を開くバイオサイエンス研究科遺伝子を網羅して保存生命の営みに関わる個々のタンパク質自体の構造や機能は、それを生み出すゲノム(遺伝情報)の解析からかなりわかってきた。ところが、「生物体に含まれる部品(タンパク質)がどのようなネットワークを組んで生命活動を行っているのか。またその機能を活用し、如何に有用性を生み出せるか」というテーマについては、ちっぽけな単細胞生物である細菌の振る舞いすら予測するのは困難なのが実情だ。なぜなら、細胞内のネットワークには、多数の遺伝子が関わり、互いに影響しあっていて、とても複雑な組み合わせになっている。それをひもとくには、膨大なデータの集積と効率的な解析が必要になってくるからだ。こうした細胞内ネットワークの解明のため、森研究室では、ゲノム研究のモデル細菌である大腸菌の全遺伝子(約4000個)をそれぞれクローン化(単離)し、ライブラリーとして冷凍保存している。さらに、Purdue大学や慶応大学との共同研究で、遺伝子を1つだけ破壊した菌株(1遺伝子欠失株)のライブラリーを全遺伝子について構築した。これら世界標準となったライブラリーを駆使して、これまで得ることができなかった質や量のデータをもとに、細胞で起こっていることのルールを見つけ出し、コンピュータで生命現象を再現、実際の細胞と比べて調べる「システム細胞学」の研究に挑んでいる。森浩禎教授二重の欠失ができた通常、自然界に生きる生命は、少しくらいの環境の変化や遺伝子の変異などに対して非常に強くできている。一つの機構として、体内代謝の経路が一カ所でストップしても、他の経路が補完して生き抜く「ロバスト(頑丈さ)」の性質があり、表現型としてはなかな中屋敷徹助教大腸菌の遺伝子ライブラリーから、細胞内ネットワークの謎を解くバイオサイエンス研究科システム微生物学研究室森浩禎教授中屋敷徹助教09 SENTAN