せんたん vol.21

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NAISTOB・OGに聞く奥健太(おくけんた)立命館大学情報理工学部助教Profile : 2008年度博士後期課程修了(情報科学研究科データベース学講座)東京国際フォーラムで開催された「イノベーション・ジャパン2011」にて、....

NAISTOB・OGに聞く奥健太(おくけんた)立命館大学情報理工学部助教Profile : 2008年度博士後期課程修了(情報科学研究科データベース学講座)東京国際フォーラムで開催された「イノベーション・ジャパン2011」にて、研究のデモ発表を行いましたK . O k u得てほしい新たな興味や発見を自分では気付かなかった研究者と交流することで、さまざまな分野の「セレンディピティ」。研究、教育、さらには人生において私がこだわりにしている言葉です。セレンディピティとは「偶然によって思いがけず価値あるものを発見する能力」という意味になります。ふとしたことをきっかけに、これまでにない新たな発見が得られ、その後の人生がより豊かなものになる、といった経験はあるのではないかと思います。私は、学生時代から情報推薦技術に関する研究に携わってきました。この技術は、Webにみられるような膨大な情報群の中からユーザの嗜好に合った情報を見つけ出し、それをユーザに提供するものです。情報推薦技術の考え方は変化しています。初期の段階では、ユーザの過去の経験に基づいて選択し、いかにユーザの嗜好に忠実な情報を提供できるかが主な課題でした。しかし、近年では、いかにユーザにとって意外性、発見性のある情報を推薦するかについても重要な課題として注目されています。その中で、私はユーザにセレンディピティな情報を提供するセレンディピティ指向情報推薦システムの実現を目指しています。データベースやデータマイニング技術、機械学習手法などの基本的な手法と直感的なユーザインタラクションを絡めながら、これまでユーザが持っているとされる顕在的な嗜好にとらわれず、ユーザ自身が気付いていないような潜在研究室旅行でテニスをしました的嗜好を引き出すきっかけとなる情報を発見するための技術について研究しています。人間の潜在的嗜好といえば、非常に曖昧な対象であり難しい課題ではありますが、この分野では新しく意義のあるテーマであると考えています。私は、NAIST時代に非常に多くの先生方に御指導を頂きました。当時知能情報処理学講座の木戸出正繼教授、浮田宗伯先生、当時データベース学講座の植村俊亮教授、宮崎純准教授、中島伸介先生、波多野賢治先生、インタラクティブメディア設計学講座の加藤博一教授など、ここでは記しきれないほどの多くの先生方にお世話になりました。特に、中島伸介先生(現京都産業大学准教授)には、情報推薦技術というテーマについて直接指導教員として、厳しくも温かい御指導を頂きました。私が現在も情報推薦技術をテーマに研究に携わっていられるのは中島先生が私の情報推薦に対する興味を引き出してくださったからです。現在、私は立命館大学で助教を務めておりますが、NAISTの先生方から学んだことは、現在の学生達にも伝えていきたいと思います。最後になりましたが、NAISTの学生の皆さんには、せっかくNAISTという様々な分野の専門の研究者、学生が集まる環境がありますので、是非多くの方々と交流したり、指導を受けたりすることをお勧めします。自身の専門分野にかかわらず、様々なバックグラウンドをもった方々と交流することで、新たな興味や発見が得られることは多いと思います。セレンディピティのある日々を送ることが、今後のより豊かな人生につながると思います。SENTAN18