せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 10/24

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知の扉を開く物質創成科学研究科人工の材料で医療の未来を拓く物質創成科学研究科生体適合性物質科学研究室谷原正夫教授安藤剛准教授世界初のコラーゲン合成重大な病気により失った臓器や機能を取り戻したり、補助し....

知の扉を開く物質創成科学研究科人工の材料で医療の未来を拓く物質創成科学研究科生体適合性物質科学研究室谷原正夫教授安藤剛准教授世界初のコラーゲン合成重大な病気により失った臓器や機能を取り戻したり、補助したりする手段として、再生医療など次世代の分野の研究が盛んだ。その中で谷原研究室は、生体とうまくマッチする人工の材料を開発し、安全で効率的な医療に生かすのが目標だ。「タンパク質の人工的なモデルとしては、多数のアミノ酸がつながったポリペプチドという化合物。多糖類のモデルにはブドウ糖がつながったアミロース誘導体があります。いずれも生体にある材料を使い、そっくりまねたものですが臨床に使うには安全性が不可欠。動物由来でも使用できない場合があり、化学的にコントロールして合成し、安全性を確保できる人工材料を使う研究を進めています」と谷原教授は説明する。これまでの大きな成果が、皮膚や腱、軟骨などの主成分である「コラーゲン」というタンパク質の人工合成。谷原教授が世界で初めて成功し、すでに化粧品など多くの製品に使われている。コラーゲンは、体の組織の強度や弾力性を増すのに役立ち、アンチエージング(抗加齢)のための成分としても知られている。分子の構造は、アミノ酸が連なった繊維状の鎖(ポリペプチド)が三重のらせんを巻いた複雑な形をしており、化学合成は困難と言われていた。谷原教授は、アミノ酸を鎖状につないで合成(縮重合)する際に、当時、常識とされていた有機溶媒を使ってみたがうまくできないことから、「常識を逸脱」して、アミノ酸を高濃度で溶かすことができる水溶液中で反応させた。その結果、予想以上に反応が進み、突破口が開けた、という。「失敗の中に成功の芽がある。決して諦めないこと」と言う谷原教授の信条が功を奏した。「いまある材料を少しだけ改変するよう谷原正夫教授なものでなく、まだ世に出ていない全く新しい材料をつくり、さまざまな分野に使っていきたい。その課題の解決法を学生とともに考えて、科学技術立国に貢献できるような人材を育てたい」と数々の業績を踏まえ、後進に目を向ける。趣味は音楽鑑賞や山歩き、渓流釣り。「本学の環境は里山の中にあるようで研究にうってつけ」、という。自在に高分子を設計安藤准教授は、さまざまな特性を持つ高分子の新材料について、生体との相互作用を調安藤剛准教授09無限の可能性、ここが最先端-Outgrow your limits-