せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 15/24

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TOPICS最新の研究成果2013 9~12バイオサイエンス研究科植物成長制御研究室梅田正明教授植物の根の成長を調節する新たな仕組みを解明~根の長さを自在に操作環境に適した植物バイオマス生産に期待~バイオサイエンス....

TOPICS最新の研究成果2013 9~12バイオサイエンス研究科植物成長制御研究室梅田正明教授植物の根の成長を調節する新たな仕組みを解明~根の長さを自在に操作環境に適した植物バイオマス生産に期待~バイオサイエンス研究科植物成長制御研究室の梅田正明教授、高橋直紀助教らは、植物の根の成長を調節する新たな仕組みを世界に先駆けて発見した。細胞分裂により細胞数を増やす根の先端部分の組織(根端分裂組織)で、植物ホルモンを引き金に細胞内のDNA量の倍増(DNA倍加)を促進することにより、細胞を大きくするという機構。さらに、その肥大化開始のタイミングが根の成長スピードのカギになっていることもわかった。バイオマスの増産などにつながる成果と期待される。梅田教授らはシロイヌナズナで細胞分裂からDNA倍加への移行を促がす遺伝子(CCS52A1)の解析を行なった。その結果、この遺伝子に働きかける転写因子(ARR2)が植物ホルモンの一つであるサイトカイニンの作用により活発に働梅田正明教授くことで、この遺伝子が活性化することを突き止めた。根端分裂組織の大きさを調節し根の成長スピードを制御するという植物の巧みな成長戦略が明らかになった。9月12日付「カレントバイオロジー」(電子版)に掲載された。根端分裂組織の大きさが根の成長を決める細胞分裂からDNA倍加への移行が根端分裂組織の大きさを決めるバイオサイエンス研究科植物細胞機能研究室橋本隆教授植物の環境ストレス応答機構を解明~植物の形づくりや重要な機能を担うタンパク質が短時間で消失環境の変化に適応する植物の開発に期待~バイオサイエンス研究科植物細胞機能研究室の橋本隆教授らの研究グループは、植物細胞の形を作り、細胞分裂で重要な働きをしている微小管という細い管状のタンパク質(生体ポリマー)が塩害による高浸透圧などの環境ストレスにさらされると酵素の働きですみやかに分解される仕組みを明らかにした。環境ストレスに適応するために反応する酵素が見つかったのは初めて。植物体の形の変化や情報の伝達などストレス対応に重要な役割をしている、と見られる。橋本教授らはシロイヌナズナを材料に微小管の構成単位であるタンパク質(チューブリンタンパク質)をリン酸化する酵素(PHS1)を発見。ストレスがかかるとPHS1の作用により微小管が短時間(30分以内)でバラバラに分解することを見出した。この成果は、急激な環境変動に迅速に対応し、高収量を維持できる環境適応型作物の開発につながると期待される。10月10日付「カレントバイオロジー」(電子版)に掲載された。橋本隆教授シロイヌナズナの胚軸表皮細胞。植物体を高濃度のソルビトールに浸すことにより、高浸透圧ストレスをかけると、微小管ポリマーがPHS1の働きにより微小管構成単位のチューブリンに分解する。乾燥や塩害といった急激な環境変化はタンパク質リン酸化酵素PHS1の働きを介して細胞骨格である微小管ポリマーの脱重合を引き起こす。植物の環境適応に重要なメカニズムであると考えられる。SENTAN14