せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 2/24

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奈良先端大東京フォー「未来の創造」奈良先端科学技術大学院大学は、奈良先端大東京フォーラム2013「未来の創造~これからの大学院の使命~」を10月18日、東京で開催した。科学技術の分野で世界の未来を創造する人材....

奈良先端大東京フォー「未来の創造」奈良先端科学技術大学院大学は、奈良先端大東京フォーラム2013「未来の創造~これからの大学院の使命~」を10月18日、東京で開催した。科学技術の分野で世界の未来を創造する人材の育成が日本の大学・大学院の大きな課題になっている。フォーラムでは、安西祐一郎・日本学術振興会理事長が「真の科学技術立国のために」のテーマで基調講演を行い、パネルディスカッションは「これからの科学技術とそれを担う人材育成」をめぐり、日本の科学技術の現状や展望を踏まえ、大学院での研究・教育の新たな展開、将来の研究者像などについて話し合った。基調講演真の科学技術立国のために「『真の』科学技術立国とは何か」、「研究・技術開発・社会再生のための方策」、そして「大学・大学院、または人材育成の現状と展望」の3つについてお話しします。「真の科学技術立国」については、日本の場合、文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の例を見ても、大学の枠を越えた特定の領域で素晴らしい先生が研究する場がいくつか入っていて、世界に誇る成独立行政法人日本学術振興会理事長安西祐一郎氏あんざいゆういちろう果が多く出ている。また、ノーベル賞の受賞者数を見ると、物理学、化学、生理学・医学の自然科学3賞での日本人の受賞者数は2001年から2012年までの間では米国に次ぎ2位です。日本がトップレベルの研究者を輩出していることは間違いない。一方で、経済協力開発機構(OECD)の国際成人力調査(PIAAC)によると、読解力、数的な思考力などでは日本が断然トップです。OECDの生徒(15歳)の学習到達度調査(PISA)でも、日本は読解力、科学的リテラシーなどいろいろな分野の調査でかなりいいところにある。つまり、科学技術立国の素地はあるということです。ところが、リチャード・レビンエール大学元学長は2010年に雑誌のエッセーで「日本、中国などアジアの国々では、教育は丸暗記が目的で学生は受け身、挑戦することがほとんどない。独立に自分から思考する力を養う教育が行われていない」と書いた。世界から見ると、多くの人が「批判的な思考力」「独立して考える力」「自分で実行していく力」が抜けていると指摘しています。これからは世界の社会のあり方を変えていくような科学技術を日本から発信するべきです。たとえば、奈良先端大の教員でもあったノーベル生理学・医学賞の山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長の研究は、さまざまな基礎科学の研究、発見が組み合わさって社会を変えるような成果に結びついた。基礎研究をし、それから応用研究や技術開発を行って実用化すると一直線でものを考える人が多いが、決してそんなことはない。これまでの一般的な考えのなかで抜けているのは、ある実用の技術があったとき、そこから遡っていくと、物理や化学などさまざまな基礎研究にたどり着くことです。異種分野の多様な基礎研究を非常に広い土壌で行うことが実用化にとって極めて大事な条件になる。もう1つは、イノベーションの過程と社会との関係は極めて複雑になっている。企業も、国も、大学も、雇用とか利益とか、いろんなことが絡み合い社会が変わっていくという時代になっていることです。イノベーションをもたらすのは人間の主体性で、それを育む研究や教育の環境をつくることが大学、大学院の使命だと思います。次に、「研究推進・技術開発・社会再生のための方策」についてはいくつかの課題があります。第1は、「規制緩和」。特に国立大学等の場合には自己規制が多いのではないかという気がします。2番目は、「研究環境の多様化、国際化」です。これは、人間の創造性、主体性は、異なる立場、考え方の人たちと一緒にいることによって生まれるというものです。「基礎科学・技術開発・実用化のメリハリの強化」もあります。それぞれの研究の本当01無限の可能性、ここが最先端-Outgrow your limits-