せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 21/24

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NAISTOB・OGに聞く清水伸隆(しみずのぶたか)大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光科学研究施設Profile : 2002年度博士後期課程修了(物質創成科学研究科エネルギー変換科学講座....

NAISTOB・OGに聞く清水伸隆(しみずのぶたか)大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光科学研究施設Profile : 2002年度博士後期課程修了(物質創成科学研究科エネルギー変換科学講座)新たに「Photon Factory」に建設したビームラインBL-15Aの実験ハッチにてN . S h i m i z u仕事の糧になるでしょう。その時間は今後の人生や語り合う時間を持つ。将来に関して心ゆくまで研究室の仲間と研究や進路、は学部時代、理学部物理学科でX線や中私性子などの量子ビームを用いて研究を行なう物性物理の研究室に所属していました。そもそも、物の成り立ちや本質を理解するための実験研究に興味があり理学部を選んだわけですが、卒業にあたって就職か進学かで大変悩んでいました。そのような時に「物質創成科学研究科開設」のポスターを学内で見つけました。何をおいても「1期生」という響きが私の迷いを振り払ってくれました。早速募集要項を取り寄せ全ての研究室紹介を読みましたが、最も興味を持ったのがエネルギー変換科学講座でした。学部の研究室と同様に量子ビームを利用して、生命活動をになう機能素子であるタンパク質の構造や動作原理、それに基づく機能発現機構を理解するという研究内容に魅せられ、物性物理から生物物理に分野を変えて研究を進めたいと考えました。「1期生」というのはやはりユニークな存在で、自分同様に異分野の研究でも興味を持ったことに挑戦したいと思う多数の学生が集まっていました。同じ研究室でも、その出身分野は、食物栄養・畜産・電子工学など様々です。当初は、研究室にまだ装置が揃っていなかったため実験時間にも余裕があり、待ち時間には学生だけで集まって勉強会を開いたり、先生方とも自由にお話しすることができたりと、普通の大学の研究室には無い雰囲気を経験することができました。その中で私の研究の中心になったのは放射光X線を用いた構造生物学研究でした。放射光とは、高速で進む電子の進行方向を強力な座長を務めた2013年度日本生物物理学会のシンポジウム後の打ち上げにて(演者の先生方と共に)磁場によって曲げた場合に、その接線方向に放出される電磁波です。この電磁波は赤外線からX線までの幅広い波長範囲で指向性の強い光となっており、研究の目的に必要な波長の光を取りだして加工し、実験に利用する事ができます。当時、研究室では年5回程度、茨城県つくば市にある高エネ機構の放射光科学研究施設「Photon Factory」で実験を行なっていました。先生方からは「単に利用者として実験設備(ビームライン)を使用するのでは無く、装置構成を理解して自身で調整も行ない、新たな装置や測定系を構築しながら自力で研究展開できるように」と指導を受けました。2003年3月の学位取得後は、放射光を用いたサイエンスをますます深めたいと考え、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」を運営する高輝度光科学研究センターに就職しました。ここでは、自分自身が施設のスタッフとしてビームラインの維持管理、外部利用者支援を行ないつつ装置の高度化開発や構造生物学研究を推進してきました。さらに、2011年4月からは「Photon Factory」に異動して、新たな研究を展開しているところです。私自身のNAISTでの5年間は、本当に素晴らしいものでした。1期生として先生方をお手伝いしながら研究室を構築していった経験は、本当に掛け替えのないものです。苦楽を共にした同期や後輩達は今でも大切な仲間です。在学中の皆さんに対しては、同じNAISTの「釜の飯」を味わっている仲間ですから研究室の同期や先輩・後輩と、研究に関する議論から今後の進路や将来に関しても、心ゆくまで語り合う時間を持って頂きたいと思います。そういった時間は必ず皆さんの人生においても仕事や研究においても糧になるでしょう。SENTAN20