せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 3/24

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ラム2013~これからの大学院の使命~パネルディスカッション「これからの科学技術とそれを担う人材育成」の目的をはっきりさせ、宣言することです。そして「若手研究開発人材育成の強化」があります。「大学、大学院....

ラム2013~これからの大学院の使命~パネルディスカッション「これからの科学技術とそれを担う人材育成」の目的をはっきりさせ、宣言することです。そして「若手研究開発人材育成の強化」があります。「大学、大学院の現状と展望」については、現状に多くの課題があります。なかでも女性研究者の問題はかなり深刻で、日本学術振興会では、出産育児などで研究が途切れたポスドクの女性をサポートするプログラムがあります。ただ、大きな問題は、教授、准教授が少なく、キャリアアップができていないことで、大学の意思決定など構造的な問題が背景にあるわけです。また、日本では学部と同じ大学の大学院に行く学生が多い。多様な研究の世界にいないということで、その点、奈良先端大は学部がないので問題はない。しかし、学生の流動性をもっと増やさないといけない。その方策として、例えば、日本学術振興会では、特別研究員制度を設け、ポスドクを支援しています。その条件は研究室を変わることで学生の流動性を上げて、主体的な研究者になってもらうことです。研究大学、大学院の課題は、大学自体の主体性と自己規制の打破にあります。「科学技術立国は人なり」で、人材が育ち、科学技術をリードして国を作っていくことが、真の科学技術立国だと思います。【パネリスト】学校法人立命館総長特別補佐立命館大学国際平和ミュージアム館長モンテカセム氏日本工学会会長柘植綾夫氏つげあやお京都大学学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット特定教授(兼)株式会社SRA先端技術研究所長中小路久美代氏なかこうじくみよ奈良先端科学技術大学院大学長小笠原直毅氏おがさわらなおたけ【コーディネーター】元朝日新聞論説副主幹/科学ジャーナリスト尾関章氏おぜきあきら尾関氏大きく分けて前半では日本の科学技術の現状に対するさまざまな問題を指摘し合い、後半では未来に向けて科学技術の展望、人材育成について話し合いたい。柘植氏科学技術を担う人材育成について、文部科学省の調査には、東日本大震災と福島原発事故によって科学者、技術者に対する社会の信頼がどれだけ喪失したか、という点で見逃せないデータがある。特に技術者について「信頼できる」など肯定的に答えた人は、震災前は87%、これが震災後は52%に大きく減った。「信頼できない」など否定的な答えは、市民対象の調査では、震災前は4%だったが、その後20%に急増している。由々しきことは、「わからない」と答えた市民が10%から28%に増えてしまったこと。これは科学技術創造立国にとって二つの意味で重大危機だ。一つは、市民から科学者、技術者への信頼の回復がなければ、科学技術創造立国などは絵に描いた餅だということ。もう一つは、科学教育をする側が、国民の信頼を育てるという使命を果たしていないのではないかということ。中小路氏「信頼できる」という数字が減ったこと自体は、私はむしろ好機と捉えたい。科学技術が自分にとってどういう意味を持つのかを、人々が考え始めたということなのだと思う。それまで良いものと漠然と思い込んでいたものが、大震災の発生により、一連の科学技術について実はこうだったと、突然事実を示されて、まじめに考え始めたのではないか。そういう意味で、良い変化が起こり始めたと捉えられる。真の科学技術立国になるためには、国民一人一人が主体的に考えるようになる必要があると思う。カセム氏大震災までは、科学者、技術者が社会から離れていたことの裏返しではないか。それを是正するには、科学者が真の科学技術の原点に戻って、科学技術が真実を求めるものであるという認識のもと、つらい道であっても成し遂げる。それが科学者の美徳だと思う。尾関氏2012年の科学技術白書では、もう一つ科学技術や研究開発の方向性を専門家がSENTAN02