せんたん Jan.2014 Vol.22

せんたん Jan.2014 Vol.22 page 7/24

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幹雄理事・副学長本語教育して、日本語で教える方が、はるかに効率がいいのではないか。基礎のレベルだけですが、その場を提供するのは大学の使命ではないか、と考え始めています。さらに、本学は、イスラム系の留学....

幹雄理事・副学長本語教育して、日本語で教える方が、はるかに効率がいいのではないか。基礎のレベルだけですが、その場を提供するのは大学の使命ではないか、と考え始めています。さらに、本学は、イスラム系の留学生ら、宗教的文化的な背景が違う外国人が研究し、学んでいます。それだけ多様な人が世界にはいるということを受け入れ、敬意を持って接するという感覚を学生が身に付けることも大事でしょう。それが国際連携の第一歩だろうと思います。―ハラスメントの問題が全国の大学で取り上げられるようになりましたこれはなかなか難しくて、私たちが学生だったころは、先生から強く注意されても、「なにくそ」と思うだけでした。今は、それがアカデミックハラスメント、パワーハラスメントになる。要は、教員と学生との間の信頼関係を常に意識して醸成することが大事です。みんなが働きやすい、学びやすい職場、教室にしていくことが基本です。自分がされて嫌なことはしない、相手が嫌そうだということはしないことに気を付けてください。―新入生に贈る言葉をお願いします大学院では、まず基礎を勉強してほしい。プロ野球の球団に例えれば、高校球児が入ってきて、「もう私の技術は十分にあるから試合に出させてください」と言っても、たぶん出られない。素振りなど基礎練習を人知れずやる選手がスタープレーヤーとして育っていく。そういう意味では基礎が非常に大事です。それから、「腕」と「心」と「頭」を鍛えてほしい。「腕」は研究の技術です。「心」は感じること、思うこと。「頭」は考えること、基礎を理解することです。この三つが一体にならないとバランスの取れた科学技術研究者にはなれない。これはどんな分野でもたぶんそうでしょう。例えば、『古今和歌集』の仮名序(序文)には、歌人の在原業平(ありはらのなりひら)を評して、「そのこころあまりてことはたらす(その心余りて言葉足らず)」。つまり、歌に詠もうとする心はありあまっているのに、それを表現する技術がないとあります。また、ノーベル賞物理学賞の南部陽一郎博士の座右の銘は「学んで思わざれば則ち罔(くら)し、思うて学ばざれば則ち殆(あやう)し」だそうです。つまり、「頭」で学ぶだけでは駄目で「心」で考える必要があるのです。研究するためには、研究技術を身に付けるのは当然ですが、出てきた結果を自分で考え、そこから自然が発するメッセージを自分の心で感じることが非常に大事なので、その三つを意識してほしいなあということです。―研究者の先輩としてのメッセージは研究哲学は、「人のしないことをする」。私は実験研究者なので、研究には試料をつくり、それを測定し、解析するという三つのステップがあります。これだけ研究が進んでくると、すごくいい試料を持つ人が、いろいろな研究手段を持つ人と共同研究するとものすごく業績が上がる。逆もあります。私は中性子散乱解析などの世界に誇る技術を持っていて、世界中から測ってほしいと言ってきますが、他の研究者と違って、その試料も自分でつくる。学生にも自分のオリジナルの試料や測定技術の開発を要求します。そうすると業績の数は少なくなりますが、広い視野が持てる。これから求められるのは、このような面白い試料、新しい測定技術を組み合わせれば、どのような結果が出るかを予測して、コーディネートする能力です。それが融合領域を成功させる一つの道で、そのような人がこれから求められるかなと思います。―趣味はビオラの演奏で、毎年、本学の卒業式で弾いておられますね今年も卒業式に演奏する予定で、着任してから、これで16回目です。昨年は、海外出張があったので、学生が替わりに弾いてくれました。ついに伝統ができたのかな、と喜んでいます。SENTAN06