世界初!!「二層シリコン薄膜の同時結晶化」に成功 シートコンピュータなど次世代ディスプレイ、人工網膜の開発に期待

2007/08/24

ガラスの基板上で画面表示やコンピュータの機能が果たせる次世代ディスプレイには、素子になる高品質なシリコン薄膜の実現がネックになっているが、奈良先 端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 微細素子科学講座の浦岡行治 准教授、冬木隆 教授らの研究グループは、産業技術総合研究所の三村秋男 研究員らとともに、㈱アルバックの協力を得て、低コストで高性能な薄膜をつくる基板技術の開発に 世界で初めて成功した。レーザ光を使い、二層に積み重ねたシリコン薄膜を同時に結晶化できたもので、従来のシリコン基板でつくられるLSI(大規模集積回 路)に匹敵する性能があった。
この開発によって、シートコンピュータなど次世代のディスプレイや目の不自由な人のための人工網膜などの実現に拍車がかかることになる。
 この研究成果は、近く米国論文誌IEEE/ Electron Device Lettersに発表する。

近 年、プラスチック基板やガラス基板の上に、画素だけではなく記憶演算機能をも搭載したシステムオンパネルの実現に大きな関心が寄せられている。しかし、ガ ラス基板の上にシリコン薄膜を重ね、スイッチなどの素子として機能させるにはシリコン薄膜を結晶化して作製する必要があり、高温など製造装置にコストがか かり、大きな課題になっている。
今回は、半導体レーザの一種であるグリーンレーザを使った。装置がコンパクトで、メンテナンスが容易という特長が ある。グリーンレーザ光を照射し結晶化させることによって作製したスイッチの性能は、従来のものと比較して2倍以上あり(移動度550cm-2/Vsを達 成)、1000度以上の高温の単結晶シリコン工程で形成するLSIに匹敵する性能が得られることを確認した。また、二層の結晶化シリコン膜が得られたこと で、素子を立体的に積み重ねることが可能となり、今後、人工網膜 など新しい素子開発への可能性が出てきた。
本技術は、次世代のディスプレイとして注目されているコンピュータシステムオンパネルの実現に道を開き、LSIレベルに近い性能をもつスイッチング素子をガラス基板上に実現できる可能性が高まった。
今後、品質向上のメカニズムの解明と同時に、人工網膜 など新しい素子の開発を行っていく予定である。

【研究成果の特徴】
シリコン薄膜の結晶化にグリーンレーザを用いた点。グリーンレーザは、半導体レーザの一種で従来のガスを使ったエキシマレーザと異なり、コンパクトでメンテナンスが格段に楽で、コストの大幅削減が可能。
グリーンレーザの光の一部は、シリコン薄膜を透過できるので、二層のシリコン薄膜の同時結晶化が可能となった。二層のシリコン薄膜が得られることで、積層(2階建て)の素子が作製可能。
薄膜の品質が高いので画素だけでなく演算機能などを搭載したシートコンピュータが作製できる可能性が高まった。

【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 微細素子科学講座 浦岡行治
TEL 0743-72-6071,Email uraoka@ms.naist.jp

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