世界初!300μmのしなやかな石英ファイバー上にLSI素子-ICタグ、バイオセンサなどユビキタス時代の素子開発を加速-

2007/11/16

【要旨】
 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 浦岡行治准教授、冬木隆教授らの研究グループは、独立行政法人産業技術総合研究所(鈴木堅吉特別研究員、三村秋男研究員)、古河電工 (小相澤久センター長、戸田マネージャー)らと共に、一辺わずか320ミクロンの微細な角型ガラスファイバー上に高性能な電子スイッチをつくることに世界 で初めて成功した。
 ガラスファイバー上に電子回路の材料となる薄いシリコン膜を形成し、エキシマレーザで結晶化することによって、薄膜トランジ スタと呼ばれる高性能のLSI(高密度集積回路)素子を製造する方法を開発し、ファイバー上で動作させることに成功した。この成果によって、大型のガラス 基板などを使わなくても、安価に大量の電子回路ができる。食品や衣料品の情報管理に用いられる電子タグやセンサーなどユビキタス時代に不可欠な情報素子の 開発に加速が見込めそうだ。
 この研究成果は、近く米国学術論文誌(Applied Physics Letter)に掲載される。また、さらに改善された結果がIDW'07(The 14th International Display Workshop)(12月7日、札幌)で独立行政法人産業技術総合研究所から発表される。
【特徴】
細くてフレキシブルなガラスファイバー上に、電子デバイスを実現した。
スイッチは、薄膜トランジスタと呼ばれる性能の高い電気特性をもつ素子で作製された。
スイッチの作製にレーザを照射することによってLSI並みの性能を実現した。
スイッチの作製にエキシマレーザを照射することで、作製温度を500℃以下に低減した。
【内容】
  これまで、半導体スイッチ(薄膜トランジスタ)は、半導体基板やガラス基板など平たい基板の上に作製するものとされていた。最近ではその基板サイズは1m 角を越えるものが普通になっている。一方、性能の高いスイッチを作るためには、高精度で複雑な装置を使うために、基板の搬送と固定が重要である。しかし、 ファイバーのように軽くて透明なフレキシブル材料の上に電子回路を作製できればどんな小型製品にも搭載して、その生産履歴などの情報が詳細に付加できるこ とになる。また、これまでのバッチ式と呼ばれる1枚、1枚、別々に作製されてきた製造方法をリールツーリールと呼ばれる連続方式へ、根本的に変える新しい 原則を実証したことになる。本研究はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による支援を受けた。
【応用】
 本技術により、ファ イバー上のフレキシブルな基板の上に、スイッチング素子やメモリ素子を同時に作製することが可能となり、電子情報タグ(ICタグ)などの次世代情報チップ として、食品、衣料品などの安全、衛生管理に有効となる。また、生体の変化をキャッチするバイオセンサなどにも応用が期待される。

【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
○奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 微細素子科学講座 浦岡行治
TEL 0743-72-6071, E-mail:uraoka@ms.naist.jp

【用語】
薄膜トランジスタ:半導体材料をもちいた高性能なスイッチ。今回は、シリコン基板やガラス基板をもちいずに、石英ファイバー基板の上に形成した。レーザを照射することによって、低温化とLSI素子動作を確認した。
電子(IC)タグ:超小型の情報チップ。食料品や衣料品などさまざまな商品にその生産、流通情報を入力し、安全性などを確保する。今後、巨大な市場が期待されている。

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