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プレスリリース

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日本や中国、韓国などアジアの稲作環境ではたらくイネ第二の花咲かホルモンを世界で初めて発見 
イネは栽培環境に合わせて、花咲かホルモン使い分けの仕組みを持っていた 
~収穫時期の改良や増産に期待~

【概要】
 植物は、日照時間や温度などの環境の変化にかかわる情報を感知し、それぞれの性質に適した季節に、花を咲かせる機構を持っている。この花の咲く時期によって米がいつ実り、収穫できるかが決まる。奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科の島本功教授と小宮怜奈GCOE研究員らは、日本、中国、韓国など北東アジアで行われている稲作において、イネの開花時期を決定する花成ホルモンと、その働きを制御し環境に適応する仕組みを世界で初めて明らかにした。
 この花成ホルモンを作る遺伝子(RFT1)はすでにイネの花成ホルモン(フロリゲン)の遺伝子として報告されているHd3aと、DNAの塩基の配列が非常によく似た双子の遺伝子であり、イネの開花を制御する重要な遺伝子であるであることを島本教授らはこれまでに解明してきた。
今回の研究では、イネは、Hd3aを日長が短くなっていくに伴い開花時期が訪れる短日のフロリゲンとして、一方、RFT1を逆の長日のフロリゲンとして利用し、日の長さに応じてふたつのフロリゲンを使い分けて花を咲かせていることを明らかにした。
さらに、RFT1フロリゲンを作るために必要な因子や抑制する因子を解明した。その背景は、日本の稲作が、イネ本来の短日条件での開花ではなく、長日条件における開花が基礎となっていることにある。これまでに、短日条件におけるイネの花が咲く機構は世界中でよく研究されてきたが、日本の稲作が行われる長日の環境下で、イネの開花を促進する機構はこれまで明らかとなっていいなかった。
 なお、本研究成果は、平成21年9月18日(金)付けでDevelopment誌にオンラインで掲載された。

【研究の方法】
 遺伝子機能を抑制する「RNA干渉」(RNAi)という技術を用い、RFT1及び、Hd3aの遺伝子の働きを抑えたイネを作成し、短日と長日の2つの条件で花の咲く時期を比較した。その結果、RFT1 の機能を抑制したRNAiイネは、長日条件でのみ開花が遅れたのに対し、Hd3a を抑制したイネは、短日条件でのみ特異的に開花が遅れた。さらに、遺伝子が働いていると光るGFP(クラゲ由来の蛍光タンパク質)を、RFT1に融合させ、イネに導入したところ、長日条件において茎の先端(茎頂:将来花ができる場所)で、緑色の蛍光が観察されたことから、RFT1が長日条件で、花成ホルモン(フロリゲン)として機能していることが示された。

【研究の意義】
 イネは短日フロリゲン(Hd3a)と長日フロリゲン(RFT1)をそれぞれの生育に適した環境条件のもとで利用し、遺伝子のネットワークを使い分け、開花を制御していることを明らかにした。本研究で初めて解明した長日フロリゲン(RFT1)は、日本、中国、韓国など北東アジアの水田においてイネの開花を促進することから、開花後の種子を利用するイネにとって、収穫期や収量を決定する因子として、今後、増収や耕作に不適な水田での栽培、二期作など稲作への貢献も非常に大きいと考えられる。

【用語説明】
花成ホルモン;フロリゲンとも呼ばれ開花を誘導するタンパク質。島本教授らはHd3aが短日条件におけるイネの花成ホルモンであることを発見している (2007年Science誌に掲載) 

【解説】
 イネの長日フロリゲンRFT1 によって制御される多数の遺伝子からなる開花ネットワーク。
RFT1の働きは、関連する別の遺伝子(OsMADS50, Ehd1)により、葉で誘導され、RFT1からできたタンパク質が、葉から将来、花ができる茎の先端へ移動し、関連の遺伝子(OsMADS14,15)を活性化し開花を促進する(下図)。

(写真の解説)
イネの茎の先端で光るRFT1とGFPの融合タンパク質。RFT1がフロリゲンであることを示している。

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