ブックタイトルSENTAN May 2016 vol.25

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SENTAN May 2016 vol.25

特集奈良先端大のグローバル事業展開第2回スーパーグローバル大学創成支援事業シンポジウム奈良先端科学技術大学院大学は3月14日、第2回スーパーグローバル大学創成支援事業シンポジウム「グローバルな視点から理工系大学院教育の将来を考える-世界を牽引するグローバル人材育成を担う大学院教育に期待されるもの-」を開催した。技術革新につながる先端技術への期待が高まり、世界のリーダーとなる高度人材の育成が求められるなか、欧米やアジアの知見から学び、理工系大学院のあり方を考える企画。米国国立科学財団のディーン・エヴァシウス氏、欧州委員会のピエリック・フィヨン芦田氏、シンガポール科学技術研究庁のアルフレッド・フアン氏が各国の高等教育の取り組みなどについて講演した。NSFと理工系大学院教育:米国から見たグローバル化の展望米国国立科学財団(NSF)大学院教育担当ディレクターディーン・エヴァシウス氏米国ではグローバル化によって高等教育、博士課程教育が世界に開かれた一方で、国民教育においていろいろな課題が生まれています。例えば、数学の分野で博士号を得た者のうち、1973年には全体の8割を米国民が占めていましたが、2003年には半数を切りました。NSFでは危機感から、対策に乗り出しています。科学技術のグローバル化は急速に進み、大学教育はますます学際的になっています。NSFはさまざまなプロジェクトを行っていますが、なかでも、脳の活動を解明する「ブレイン・イニシアチブ」や、食料・エネルギー・水システムの境界領域にある研究は、学際的な取り組みが顕著なものです。博士課程教育では、専門職としての能力が幅広い分野に応用できる「移転可能なスキル」と、学術研究の成果を社会で応用できるものに変える「転換可能なスキル」の育成がますます求められており、効果的な大学院教育を評価する取り組みも進んでいます。NSFは、政府と協力しながら、理工系博士課程教育の改善を進めており、社会に貢献する博士人材の育成に期待しています。EUと理工系大学院教育:欧州から見たグローバル化の展望欧州委員会・研究イノベーション総局(駐日EU代表部・元科学技術部長)ピエリック・フィヨン芦田氏欧州はどこに向かおうとしているのか。E Uの研究開発枠組みプログラム「Horizon2020」(2014年-2020年)にテーマが集約されています。「基礎研究」「ITなど産業界のリーダーシップ」「気候変動など社会的課題」の3本柱です。とくに、大学院教育に関わる「基礎研究」のテーマでは、EUが運営する欧州研究会議が科学者の流動性を伴うトレーニングプログラムを行っています。データによると、研究者の50%が、欧米や日本以外に住んでいます。欧州は知識の拠点とはいえ、世界の論文の30%、特許の30%しか貢献していません。また、今後、産官学の連携を促し、とくにアジア各国で増え続ける需要に対応していくことが、欧州のみならず世界各国の経済成長を促すことになるでしょう。2000年から2010年にかけて、欧州の研究者の数は57%増えました。ところが、次の10年も同じような増加率は見込めないかもしれません。グローバル時代だからこそ、研究者という貴重な高度人材資源を共有していくことが重要です。社会が直面する問題、例えば環境やエネルギーは、世界共通の課題であり、協働して取り組まなければならないからです。1