ブックタイトルSENTAN May 2016 vol.25

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SENTAN May 2016 vol.25

A*STARと理工系大学院教育:アジアから見たグローバル化の展望シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)大学院アカデミー執行ディレクターアルフレッド・フアン氏教育はどこへ向かうかという、私個人の考えについて話します。モノを作りだす力を育てる実践教育、特に「STEM」(科学、技術、工学、数学の頭文字)分野の教育においては、その目的が何なのかを常に自問自答し、長く見据える必要があります。重要なのは、その教育の成果が持続可能かどうかです。私は、STEMとは社会に便益をもたらすもの、資源を持続可能に使う方法をもたらすものと考えています。大切なことは、STEM教育によって、今はまだ存在しない仕事に、将来、若い世代が対応できるようにしていくことです。私は研究者として、また教育者としても、STEM分野が世界に大きな影響を与えていくと考えています。今後その影響によって、研究や教育のあり方が変わってくるでしょう。STEM教育を改善していくための提言として、統合的な取り組みが必要です。その際、STEM分野の学科だけではなく、人文系、社会科学など学際的な視野から対処することが重要です。それにより、例えば環境のような大きな問題にも柔軟に対応できるようになります。人材の多様性も欠かせません。さまざまな国籍、文化、性別の人々が協力して多様性を実現していくことが、よりよい社会を作ることにつながっていくことでしょう。NAISTの今とこれからNAISTory奈良先端科学技術大学院大学理事・副学長片岡幹雄氏NAISTは、情報科学・バイオサイエンス・物質創成科学の3つの先端科学技術の分野を中心に、これらの学際的な取り組みにも力を入れています。全ての教員が世界トップクラスの研究に携わっていることが、本学の強みです。それに基づく洗練された組織的な教育は、日本の大学院教育改革の先鞭を担ってきました。この実績を基に、世界から選ばれる、世界に存在感のある大学を形成したいと考えています。NAISTのスーパーグローバル大学プロジェクトは、世界の先端科学技術分野におけるリーダーを育て、グローバルなキャンパス環境の中で、世界標準を構築しようという試みです。そのために柔軟性、多様性を保ちながら社会の要請に応えるために、2年後に3つの研究科を1研究科に統合します。そして、一部は日本と海外の学生のための国際的なコースにする予定です。先端科学だけではなく、倫理、哲学についての教育も行ないます。また、本学は27カ国・83の大学と学術交流協定を結び国際的な教育研究活動を行なっています。キャンパスには、3つの国際的な共同ラボを設け、海外で共同研究室を2か所開設しています。これからも本学のユニークな教育や研究を経験した学生たちそれぞれがNAISTのナイスなストーリー(NAISTory)を語れる環境を整備していきたいと考えています。2