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概要

せんたん JAN 2018 VOL.26

NAIST?OB・OGに聞く?「NAISTには、常に尖ったことにチャレンジし続け、発信することしか、存在感を示す道は無い」黒田知宏Tomohiro Kuroda京都大学医学部附属病院医療情報企画部長・病院長補佐医学研究科医学・医科学専攻医療情報学分野教授情報学研究科社会情報学専攻医療情報学講座教授Profile : 1997年度博士後期課程修了(情報科学研究科像情報処理学講座)京都大学デザインスクール教員紹介ビデオの一コマURL:https://www.yotutube.com/watch?v=s0SgWM1O4a4私は現在病院の電子カルテシステムの設計・導入・運用から、蓄積情報の分析に基づく経営企画まで、病院長補佐として、病院の情報と経営を司る業務に従事しています。研究室には、医療情報学や病院管理・経営学を志す学生達が集まり、多様な研究を行っています。特に、日本で唯一、診療現場で工学系学生が医療情報学研究をできる場所なので、世界各国から学生が集まってきました。加えて、医療ビッグデータ研究は国家戦略になりつつあるので、がん登録法や次世代医療基盤法といった関連施策に関わる仕事もしています。このように多方面の業務を抱えてややパンク気味ですが、多数の優秀なスタッフに支えられて、この刺激的な毎日を楽しみながら、どうにか乗り越えています。私のこの研究・業務のスタイルは、NAIST時代に培われました。私は二期生として千原研究室の門を叩きましたが、出来たばかりのNAISTはとにかく外へ外へと発信するほかありませんでした。ですから、当時我々が千原先生から問われ続けたのは、求められることに最大限応じ、いかに自分の研究を相手にあわせて分かり易く語るかでした。「仕事を断ればそこで終わる。カレーとラーメンを与えられたら両方食べろ」「発表会場のステージは舞台だ、端から端まで使ってちゃんと演じろ」「おまえの研究は売れるのか?1分で買う気にさせる発表をしろ」日々の研究会で怒られ続け、スクリーンセーバに「無理難題」「傍若無人」といった四字熟語を毎日流していた同門生達も今や大学教授として第一線で活躍している事を考えると、当時の千原先生の教育は正しかったように思います。一発勝負の展示やデモなどの強い刺激と最新のデバイスを次々与えられて必死でこなしている間に、最新の技術・知識と確固たる研究者としての生き方の基本が身につきました。私自身、手話情報学研究でN A I S Tの修士・博士を4年間で修了した後は、求められるままに働く場所と主たる研究課題を変えてきました。そこで自分の軸足の上に立って求められた役割を最大限演じ、そのときの自分の考えを相手にあわせて丁寧に語り続けることで、他の誰にも出来ない仕事をこなせるようになってきたと思っています。NAISTは設立から20年を過ぎ、研究科を再編して新たな道を踏み出そうとされいてます。NAIS Tには、常に尖ったことにチャレンジし続け、常に発信し続けるしか、存在感を示す道は無いと思います。先生方には、私たちが黎明期に雨あられと受け続けた強い刺激を学生達に与えて欲しいですし、在学生の皆さんは、あらゆることに貪欲に取り組んで欲しいと思います。そうして、我々がNAISTのOBGであることを常に誇りに出来るような、強い光を放ち続ける存在であって欲しいと願っています。京大病院執行部会議メンバーの方々と病院長室にて