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概要

せんたん JAN 2018 VOL.26

~イノベーションを先導するエネルギー材料の新潮流~が、体に装着しやすい、軽いなどの特性があります。無機物のシリコンと同じように使おうとすると耐久性などハンディキャップがありますが、室内で発電したり、リュックサックにつけたり、特性に合わせた多くのアイデアが出てきているので、そのような用途を考える方がよいと思います。河合光エネルギーを電気として蓄積する分子材料の研究は、今後、発電にまでもっていけると思います。有機薄膜太陽電池の寿命を延ばすのは大変で、劣化すると全部入れ換えてしまわないといけませんが、分子材料の場合は、液体や触媒などシステムを部分的に交換できるので、それが実用化のメリットと考えています。耐久性の問題もほぼ解決されていて、変換効率とどのように両立させていくか、という段階に来ています。―太陽光発電以外の燃料電池や二次電池などで、ゼロエネルギー住宅に必要な課題はありますか。石田燃料電池は未だ高価です。日本は太陽光発電の季節間変動がとても大きく、冬は発電量が少ないが、需要は多い、春は逆です。このギャップを埋めるのに、現在の蓄電池では、充放電時の電力損失などがあり、なかなか難しい。エネルギーを長期間、減らずに蓄えられる装置の開発が必要ではないかと思います。―研究者の立場から、エネルギー関連の研究開発力を高めるために、どのような姿勢で取り組んでいかれますか。浦岡中村日本の強みは、材料に関する研究だと思います。やる気のある学生がモノづくりに携わり、その成果を産学連携で企業にフィードバックしていくという仕組みは大切です。このため、新たな材料を見つけるだけでなく、それをビジネスにつながる完成品に近いものになるまで大学でモノづくりしようと心がけています。大学は、新たな概念の材料やデバイスのアイデアを生み出し、それが企業において産業に結びつけば良いと思って研究してきました。ただ、実際に大学でできる新デバイスのデモストレーションと、企業側が求める実証段階とのギャップが大きい。人と資金両面でのサポートを頂ければ、それを橋渡しするまでやっていこうと思います。山田日本の研究者は、有機エレクトロニクス分野発展の要所要所で、例えば導電性ポリマー、カーボンナノチューブの発見など、材料開発の面から大きなジャンプに貢献してきました。現在もベーシックな材料開発のところで多くの成果が上がっており、私も有機化学の立場から貢献したいと思っています。河合大学の研究者は、恵まれた立場にいますが、ある意味勇気を持って新しいことにチャレンジし、そのような人間を育てることも心がけたい。それが、一番大きな社会貢献かもしれません。