ブックタイトルSENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

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概要

SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

情報科学領域知能コミュニケーション研究室中村哲教授早期の認知症傾向をアバターとの質問応答から発見声、言葉、表情など反応の特徴を組み合わせて高精度に検出先端科学技術研究科情報科学領域知能コミュニケーション研究室の中村哲教授、田中宏季助教らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科の工藤喬教授らと共同で、コンピュータ画面に登場する人型のアバターと高齢者との質問応答の様子をもとに認知症傾向を高精度で早期発見する技術を開発した。開発したシステムは、早期の認知症傾向を検出するための新たなアルゴリズムを提案したもので、アバターによる質問機能を備えているのが特徴。これまでのように神経心理検査の質問に基づき、日常的に同じ質問を繰り返すと検出精度が劣化するため、ランダムに問いかける非定型の質問を設計して加えた。認知症患者12人を含む研究協力者24人にアバターが質問し、高齢者の応答の様子を収録。これをもとに、「声」「言葉」「顔」の特徴を入力した機械学習モデルを構築したところ、9割程度で認知症と非認知症が区別できることが明らかになった。これで高齢者が自宅などにいながら、日常的なアバターとの会話を通して、早期に認知症傾向を知ることが可能となる。この研究成果は、2018年9月に神戸で開催された精神医学分野の国際会議で発表された。最新の研究成果バイオサイエンス領域植物代謝制御研究室出村拓教授木質バイオマスの本体、リグノセルロースの生合成モデルを25年ぶりに刷新産業利用の用途に応じた質的改変技術の基盤開発へ先端科学技術研究科バイオサイエンス領域植物代謝制御研究室の出村拓教授、大谷美沙都助教らの研究グループはブリティッシュコロンビア大学(カナダ)との共同研究により、持続可能なエネルギー・材料資源である木質バイオマスについて、その本体である「リグノセルロース」という高分子混合物の作られる過程が従来の定説とは異なることをつきとめ、その生合成モデルを25年ぶりに刷新した。リグノセルロースは、繊維やパルプなどに使われる「セルロース」、さまざまな糖原が得られる「ヘミセルロース」、香料や接着剤などの開発が進む「リグニン」の3成分で構成される。これまで、最初に主成分のセルロースが蓄積され、それに依存して他の2成分が蓄積されるとなっていたが、出村教授らは、セルロースが作られない変異体の解析から、この3成分は初期の段階でそれぞれ独立して蓄積されることを実証した。この成果により用途に応じた効果的な質的改変技術の基盤開発が期待される。この成果は米国の植物生理学会の学会誌「プラントセル」オンライン版に掲載された。1 3 S E NTAN