ブックタイトルSENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

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概要

SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

留学先のMITのラボでの開発環境にて(1999年8月)安室喜弘Yoshihiro Yasumuro関西大学環境都市工学部教授Profile : 1999年度博士後期課程修了(情報科学研究科像情報処理学研究室)価値観に多く触れられたことは貴重な体験でしたNAIST案ずるよりもまず飛、び込んでみる!NAIST OB・OGに聞く私は現在、関西大学環境都市工学部教授として、「まちづくり」を掲げる分野のもと、社会基盤を支える情報技術に関する研究・教育に携わっています。NAISTでは、情報科学研究科3期生として入学以来、博士前期・後期課程、研究員、助手と、現在の自分を形成する12年間を過ごしました。というと、1つの専門をとことん深めたように想像されるかもしれませんが、実は、常に自分の立ち位置を考え続けていたように思います。情報科学の中でも、ソフトウェア開発を軸として、ニーズに整合したソリューションを提案、検証するという応用研究のスタイルであったことも、その理由ですが、NAIST時代の充実した対外的経験が、今の自分に大きく影響していると感じています。入学後わずか1年足らずで学会発表の準備を始め、対外的なデモや次の新入生を迎える準備、さらに次の学会のエントリ、修士論文の計画、企業でのインターンシップなど、それらの詳しい内容を知るより先に、矢継ぎ早に課せられるイベントで自分のスケジュールがどんどん埋まっていった印象がありました。今思えば、「案ずるよりもまず、飛び込んでみること」が当時の研究室の千原國宏教授(現名誉教授)のをクリアし、さらに次々と経験を積むことで、自分の持てるものを実感しながら、多様な考え方やスキルを身に付けていくことに繋がったと思います。なかでも、教授のネットワークにより半年間、マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学する機会を得たことも、掛け替えのない経験でした。まだ何の実績もない学生でしたが、現地のセミナーに顔を出し、さらにそこでアポをとって、他の大学や機関のラボを訪ね、色々なコミュニティと価値観に触れて議論したことは貴重でした。グローバルにネットワークを広げることは決してハードルが高いわけではないことに気付いた瞬間でした。現在、資格に根差した文化が色濃い土木・建設系学科に所属していますが、自身の研究室では、「まちづくり」を広く捉え、国内外の異分野とのコラボレーションを積極的に進め、自分が育った環境同様に、常に学生を帯同しています。NAISTでの私の経バーレーンの古代寺院遺跡(世界遺産暫定リスト)での3次元アーカイブ化作業(2017年12月ゼミの学部学生と)いう実感から、最近では学部生をも海外に連れて行き、ものづくりや先進医療、世界遺産の保全など多岐にわたる学会やフィールドワークに参加させ、各現場に触れる環境を作っています。国を挙げてグローバル化が叫ばれる昨今ですが、研究と教育を両輪とする現場を預かる立場から、NAISTで得たスタイルをさらに若い世代に広げられればと考えています。1 7 S E NTAN