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概要

せんたん JAN 2020 VOL.28

フィック型回路の高信頼化設計も手掛けている。新谷助教は、集積回路の設計の研究を企業で9年間続けた後、大学に移った。それだけに「企業では、短期間の成果を考えていましたが、大学では10年後を想定して基礎研究から始めることができます。常識を疑って一から始め、性能が格段によくなるといった方向にもっていきたい」と張り切る。趣味はネットを検索しての食べ歩きだ。若い学生らも情報システムの未来を見据えたテーマに挑戦している。土田将司さん(博士後期課程3年)は、機器をつないだネットの一部に故障が発生しても、全体のシステムを止めることなく動き続けるなど故障耐性に関するアルゴリズムがテーマ。ネットを移動してデータを処理する複数の「モバイルエージェント」と呼ばれるソフトウェアを考え、悪意のある動作をする偽のモバイルエージェントが存在したとしても、正常なモバイルエージェント全てが1箇所に高速に集まれるアルゴリズムの提案を行った。「システムの実現がかなり先のことなので、今のうちに基盤を整えておきたい」と意気盛ん。無類のコーヒー好きで、頭を休める方法が、ラテアートの練習をすること。石坂守さんは(博士前期課程2年)は、新たな不揮発性の記憶素子として有望視されている「メモリスタ」で構成するデバイスについて、故障が発生しても正しく動作する回路の設計に取り組んでいる。誤り符号訂正回路というデータ復元の手掛かりになる回路を小さく組み込むことで、従来よりデータ書込みの寿命を延ばすことができた。「メモリスタは脳型コンピュータにも使えるのでそちらの信頼性を上げる手法も構築してきたい」と意欲的。日常でもゲーム「アイドルマスター」の追っかけをするほどエネルギッシュだ。バングラデシュから留学しているリアズ・アル・ハク・ミアさん(博士後期課程3年)は、10進数で計算するコンピュータを研究し、掛け算を実行する手法を開発した。「通常のコンピュータで使う2進数だと、大きな桁数の計算時に誤差が大きくなる。10進数計算はITを使う金融サービスなどに適している」と説明する。「本学の研究環境は素晴らしく、できれば日本で研究を続けたい」。旅行が趣味で、富士山や社寺を巡っている。