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概要

SENTAN SEP2019 vol.28

NAIST OB・OGに聞く大学の研究室には2つしかなかった発酵槽が、会社では何台も並んでいたり何倍も大きかったりするスケール感の違いに入社当初は驚かされました。「日々多様な文化、価値観に触れながら生活し、多角的なディスカッションが繰り広げられる研究環境を経験することは、社会できっと役に立つでしょう。」志賀岳希Takeki Shiga三菱商事ライフサイエンス株式会社研究開発本部バイオサイエンス研究所Profile:2015年度博士後期課程修了(バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室)会社の同僚と熊本県の動物園、阿蘇カドリードミニオンにて(右から2人目が筆者。右端はバイオサイエンス研究科の出村研OBでもある先輩の深水祐一郎さん)。私はストレス微生物科学研究室(高木博史教授)で学位を取り、現在は三菱商事ライフサイエンスという会社に勤めています。はじめに会社紹介をしておくと当社は、2019年4月にMCフードスペシャリティーズ、三菱商事フードテック、興人ライフサイエンスという3つのグループ会社が統合してできた食品、健康化学のメーカーで、うま味調味料や、ソルビトールのような糖アルコール、めんつゆ等に入っている酵母エキス等を開発、製造しています。私は統合の前に興人ライフサイエンスに入社し、現在に至るまで大学との共同研究やJST(科学技術振興機構)のプロジェクトに携わったりしながら研究員として働いています。2013年4月に、私は当時勤めていた会社を辞めて、バイオサイエンス研究科博士後期課程に入学しました。それから3年間、人生常に前のめりに生きているような高木先生の勢いに、時に気圧されそうになりながらも過ごした経験は、私の人生における貴重な資産となっています。研究室については、高木研の公式サイトに任せるとして、ここからは私なりにNAISTについて少し語ってみたいと思います。私が感じたNAISTの最大の特徴にして魅力は、その多様性です。例えば大学全体で20%、博士後期課程に至っては40%が留学生というグローバルな環境があるほか、社会人経験がある学生にもよく会います。また、これまでの経験に関係なく皆、一から再スタートとなる大学院大学の性質からか、当時の研究室には全くの異分野出身で、マイクロピペッターを持つのも初めてという人もいました。このような状況で日々多様な文化、価値観に触れながら生活し、研究では多角的なディスカッションが繰り広げられる環境を経験することは、今後社会に出てからもきっと役に立つでしょう。私も今の会社に入ってわずか半年後に国際学会に参加させて頂いたり、別のグループ会社出身の上司の元で働いたりしていますが、海外の研究者と臆せずディスカッションしたり、バックグラウンドの異なるメンバーと仕事をする上で、NAISTでの経験が活かされていると感じます。今は多様な在り方が認められ、次々と新しい概念が作り出される時代です。今NAISTにいる皆さんは、この恵まれた環境から是非多くのことを学び世に出ていって貰いたいと思います。また、今NAISTを進路に選ぼうか迷っている方には、結果責任は自分自身にあるとはいえ、道は必ずしも1つではないことを知って頂きたいです。思い切って“Outgrow your limits”していきましょう。S E NTAN12