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概要

SENTAN SEP2019 vol.28

知の扉を開くインターネットの実力を高め、快適に使いこなす情報科学領域情報基盤システム学研究室教授紹介エキスパートでもある。災害の負傷者を救う藤川和利教授新井イスマイル准教授垣内正年助教油谷曉助教進化する通信網巨大な情報通信網であるインターネットは、大災害時の救助活動や、高度化する交通システムの運行管理といった社会の安全、効率化を支えるインフラの役割を果たす。また、誰もがスマートフォンなどで情報をやりとりする中で、走る車同士の送受信など、どこでも使える通信環境の技術が開発される一方で、高精細な映像の送信など高度な伝送の技術も実現した。このようなネットの現状を見据えた多彩なテーマの研究開発に取り組んでいるのが、藤川教授らの情報基盤システム学研究室。メンバーは、本学の情報処理サービスを提供する「総合情報基盤センター(ITC)」のスタッフを兼ねており、運営やトラブル対応の藤川教授は「実用性を重視し、実環境でも使える研究を心がけています」と強調する。最近の成果が、大災害で多数の負傷者を病院に救急搬送する際、地上のネット回線がダウンして衛星回線に切り替わっても必要な情報をスムーズに送受信する技術の開発だ。「医師らは負傷者のケガの状態によって、治療に適切な病院を選択し、受け入れ可能かどうかを知る必要があります。衛星回線の通信速度は気象条件によって変化するので、切り替わった時の通信設定が困難でした」と背景を説明する。通信の調整は、現場の環境に応じて送信側と受信側の通信速度などパラメータを合わせるといった専門的な技術が不可欠だが、藤川教授らは、WANアクセラレータ(広域通信網加速装置)という機器などを使って最適のパラメータの組み合わせを自動的に選んで設定するシステムを開発した。さらに、全国各地で使えるように、研究室所有の自動車を移動衛星基地局にして各地をめぐり、現場の状況に応じたパラメータをデータベース化している。これまで、海上自衛隊の協力により、艦船に仮想の救護本部を置いた通信実験を重ねており、2016年4月の熊本地震では、通信回線▲災害時ネットワークの構成例03 S E NTAN