ブックタイトルSENTAN せんたん JAN VOL.29

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概要

SENTAN せんたん JAN VOL.29

知の扉を開く次世代の全固体電池の性能を高め、安全安心な環境社会を築く物質創成科学領域先進機能材料研究室教員紹介市城東区森之宮)に研究拠点を置く本学の連携研究室だ。「EVにも使える安全・高容量なシート型の全固体電池の開発研究をしています」と高橋客員教授。山本客員准教授とともに、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の研究開発プロジェクトなどに参加して、要素技術から実用化までを見据えて研究を行っている。高橋雅也客員教授門多丈治客員准教授バインダーを消す山本真理客員准教授社会のニーズを先取りスマートフォンなどに使われるリチウムイオン二次電池(蓄電池)の次世代を担う「全固体電池」の開発競争が激しくなっている。この電池はコンパクトなサイズに多くの電気をため込めるうえ、発火の恐れがないため、二酸化炭素を排出しないEV(電気自動車)などの普及に貢献する。一方で自然環境の中で消失する「生分解性プラスチック」の開発はマイクロプラスチックの残留という深刻な問題を科学的に解決する有力な手段だ。こうした社会のニーズを先取りして研究を重ねてきたのが物質創成科学領域の先進機能材料研究室。企業研究の支援の場である大阪産業技術研究所森之宮センター(大阪全固体電池は、電解液を使うリチウムイオン二次電池と充放電の仕組みはほぼ同じ。電子が負極(マイナス)から正極(プラス)に流れることにより、リチウムイオンも同じ方向に移動して放電する。リチウムイオンが逆向きに動くと蓄電する。ただ、全固体電池では、リチウムイオンの移動のルートは、可燃性の電解液ではなく、固体の電解質中であることから、それぞれのパーツの材料を新たに作り替える必要がある。正極、負極、電解質開発、バインダー、組立てプロセス、装置開発と守備範囲は広い。最近の成果は、硫黄(S)を含む硫化物系全固体電池を高性能化する研究だ。この電池は、金属箔に負極、固体電解質、正極の順にそれぞれの材料を塗り、乾燥後に重ねて積層し圧着する。その過程で材料の粒子を結着するバインダーというつなぎの?図1バインダーフリー全固体電池11 S E NTAN