ブックタイトルSENTAN せんたん JAN VOL.29

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概要

SENTAN せんたん JAN VOL.29

情報科学領域ソーシャル・コンピューティング研究室荒牧英治教授乳がん患者の体験を蓄積し、AI開発につなげるエピソードバンク開発特有の悩みや生活改善の知恵を共有大学と患者グループが共同で研究・運営情報科学領域ソーシャル・コンピューティング研究室の荒牧英治教授らの研究グループは、がん患者のQOL(生活の質)の向上のための活動を行っているキャンサー・ソリューションズ株式会社と共同研究を行い、乳がんサバイバー(体験者)のさまざまなエピソードを募集し、蓄積する「ABCエピソードバンク(https://abc.episodebank.com/)」を開発・公開した。乳がんの診断を受けた人が対象で、特に進行乳がんの診断を受けた人を中心に、自身の苦労や工夫を自由に投稿・閲覧できるソーシャル・メディア。自由に書かれた体験談の中から、人工知能(AI)の一種である自然言語処理の技術を使い、キーワードに着目して、求める内容により近いエピソードを選び、提供できるようになっている。エピソードバンクの活動を通じて、乳がん患者の体験や生活の知恵の集積が、患者の助けになりうるか、また、効果的な運営にどのような情報技術が寄与するかなどを研究していく。▲ABCエピソードバンクトップページ最新の研究成果バイオサイエンス領域植物共生学研究室吉田聡子教授ツイ・スンクイ特任助教寄生植物の宿主植物への侵入に必要な遺伝子を同定深刻な病害寄生植物の防除法開発に期待バイオサイエンス領域植物共生学研究室の吉田聡子教授、ツイ・スンクイ特任助教らは、理化学研究所環境資源科学研究センター、基礎生物学研究所との共同研究により、寄生植物が、宿主になる他の植物を認識し、植物体内への侵入を果たす仕組みを明らかにした。今回、研究チームは、コシオガマというハマウツボ科の寄生植物を使い、「吸器」と呼ばれる根の寄生器官の伸長が止まらず、宿主に侵入できない変異体を単離。また、ゲノム(遺伝情報)解析により、この表現型がエチレンという植物ホルモンを認識するための情報伝達機構に関わる遺伝子の異常に基づいて生じていることがわかった。エチレンを作れない宿主植物に寄生植物を感染させると、寄生率が低下したことから、寄生植物は、宿主植物が生産するエチレンを認識して侵入していることを突き止めた。この研究により、宿主の侵入に必要な遺伝子が初めて判明し、深刻な被害をもたらしている病害寄生雑草の防除法の開発への応用が期待される。この成果は、米科学誌「Science Advances」に掲載された。▲吸器が伸張し侵入ができないコシオガマ変異体15 S E NTAN