ブックタイトルSENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

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概要

SENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

▲センサが「観測」する世界と、人々が「知覚」する世界。この2つの世界を橋渡しする仕組みをつくることがミッション。このモデルが構築できれば、常時稼働するセンサのデータを自動的に調整することが可能になるため、人がいない時間帯であっても、人があたかもその場にいるかのように案内役を務められる。市民参加の拡充こうした研究の実証実験はこれから始まる。研究室では、街歩きイベントなどで参加者の居場所に基づく知覚情報を集めて共有するスマートフォンアプリ「ParmoSense」を開発し、公開している。今回の知覚模倣モデルの構築には、数多くの地点で大規模に知覚データなどを収集する必要があるため、市民だけでなく自治体や公共施設の協力が不可欠だ。そこで昨年は生駒市と共同で地元の魅力再発見のイベントを開催し、市民にスマートフォンで撮影した写真とコメントを投稿してもらうなど、市民参加の輪を広げる計画を練っている。また、バス会社の協力で、混雑度センシングに関する研究に着手しており、乗客の知覚データも併せて集めることにより、安心、快適な利用支援につながる可能性がある。本学の食堂でも、混雑と感じる人数や座り方について調べる予定だ。松田助教は「知覚模倣モデルは、その地域に居る人の知覚データとセンサのデータとの関連を学習しながら、人の知覚に近い結果が得られるように成長していくので、センサの性能や設置数が不十分な地域でも参加型センシングの拡充によって、良いサービスが提供できる可能性があります。どこでもだれもが快適に過ごせる街づくりの情報基盤となるような研究にしていきたい」と抱負を語る。社会実装を念頭に松田助教は、本学博士後期課程の出身。知覚に注目した研究は学生時代から続けてきたテーマで助教になって2年目に「さきがけ」に採択された。「大掛かりな研究ですが、本学をはじめ、自治体や企業が研究に協力していただけるようで、ありがたいと思っています」。このほか、大学院生の時に、ベルトを装着すると自動的に腹囲を測定し、計測データを可視化できるシステムを開発。マスコミに取り上げられ話題を呼んだ。「常に社会実装を念頭に置いて研究するようにしています」。趣味は多彩で、グラフィックデザインの分野では、研究室のロゴやパンフレット、学会のプロモーション動画も手掛ける。また、トロンボーンの奏者で、吹奏楽団インプリメーレの副団長でもある。S E NTAN10