ブックタイトルSENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

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概要

SENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

情報科学領域数理情報学研究室久保孝富特任准教授ソフトウェア工学研究室幾谷吉晴博士後期課程3年プログラム理解能力に関連する脳活動パターンの特定に成功~習熟度の高いプログラマーほど、脳活動が洗練されている可能性~情報科学領域ソフトウェア工学研究室の幾谷吉晴氏(博士後期課程3年)、数理情報学研究室の久保孝富特任准教授らは、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センターとの共同研究により、コンピュータプログラムを理解する能力について、個々人の習熟度の高さと関連する活動が脳の複数の領域で見られることを明らかにした。研究チームは、fMRIという脳活動を計測・可視化する装置を使い、プログラミングの初心者から上級者までを含んだ合計30人の被験者の脳活動を調べた。脳情報デコーディング技術という解析技術を応用し、実験時に提示されたプログラムの内容を被験者の脳活動パターンから読み取った。その結果、大脳皮質の前頭葉・頭頂葉・側頭葉にわたる複数の脳領域における読み取り精度が高ければ、各被験者のプログラムを識別する課題の正答率が高成績であることがわかった。優れたプログラミング教育法の開発につながることが期待される。この研究成果は、北米神経科学学会のオンラインジャーナル「eNeuro」誌に掲載された。▲プログラミング能力の高さに関連する脳活動パターンを示した領域最新の研究成果バイオサイエンス領域幹細胞工学研究室栗崎晃教授がん情報の伝達を活性化する転写因子の構造と機構を解明分子の改変による創薬や治療法の開発に期待バイオサイエンス領域幹細胞工学研究室の栗崎晃教授と東京大学大学院農学生命科学研究科の田之倉優特任教授らの研究グループは、がんの浸潤など、がんの悪性化を誘導するTGF-βという生体内の生理活性物質が、がん細胞内の情報伝達を活性化する際の鍵となるタンパク質複合体の構造を解明した。過剰なTGF-βのシグナルは、浸潤や転移など、がんの悪性化を誘導するため、その阻害はがんの治療に有効と考えられている。TGF-βの作用は、細胞内シグナル伝達タンパク質であるSMAD2/3と活性化因子CBPとの相互作用により誘導される。今回、SMAD2/3-CBP複合体の構造をX線構造解析で解明した。この複合体の構造から、分子の働きを阻害してがんの進行を防ぐ薬の開発が期待される。この成果は米国の「サイエンス・シグナリング」に掲載された。▲SMAD2/3-CBP複合体の解析とその制御11 S E NTAN