ブックタイトルSENTAN せんたん SEP 2021 vol.30

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概要

SENTAN せんたん SEP 2021 vol.30

知の扉を開くタンパク質を自在につなげて未知の機能を創造する廣田俊教授物質創成科学領域機能超分子化学研究室松尾貴史准教授小林直也助教真島剛史助教機能超分子化学研究室の廣田教授は、こうした超分子の特性を調べ、機能が発揮し易いように分子が会合した構造を、時にはコンピュータを利用して、新たな視点から設計し、大腸菌を用いて人工的につくる研究を続けている。「この研究は、さまざまな形のタンパク質分子(単量体)をパズルのピース(小片)のようにはめ込み、組み合わせて連結し、新たな機能を持たせる研究です」と説明する。「タンパク質複合体の構造などを立体的に視覚化するコンピュータ技術の発達により、精密な設3Dドメイン・スワッピングにより作製し計ができるようになった」たタンパク質超分子の例。タンパク質をリボンモデルとパズルのピースで示した。という。?タンパク質変性:メカニズム解明と創薬中尾仁美特任助教超分子を設計するさまざまな生命現象で主要な役割を果たすタンパク質は、多数のアミノ酸が連結し、固有の立体構造を保ちながら機能するデリケートな高分子だ。さらに、複数のタンパク質分子が会合して巨大な超分子になると、新たに高度な機能が加わる。その組み合わせのパターンは数多く、生命活動の多様な場面に登場し、カギの物質になるケースが多い。一方で、タンパク質やその超分子の構造が変性して機能を失ってしまえば、難病の原因になることもある。廣田教授は、これまで私たちの体の中で働くタンパク質の化学反応や、ヒトの培養がん細胞(HeLaがん細胞)の細胞膜を壊す効果がある機能性タンパク質の研究などで実績を挙げており、最近では、免疫反応の抗体のタンパク質を活用した医薬品の開発なども行っている。昨年12月には、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)に「タンパク質の自在配列と機能化」のテーマが採択された。この研究は、呼吸関連のタンパク質「シトクロムc」が多数連結して機能を失う現象について、廣田教授が、「分子間のつなぎ目には、分子が互いに同じ立体構造の領域を交換して入れ込ませる仕組み(3Dドメイン・スワッピング)があり、このパターンが連続している」と世界で初めて明らかにしたことが根底にある。この機構をサイズと構造が均一なタンパク質を自在に集積する方法に応用し、革新的な創薬に結びつける。「これまでに報告例がない未知の分野だけに、機能材料の作製など新たな展開をめざしていきたい」と抱負を語る。09 S E NTAN