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概要

せんたん MAY 2018 vol.27

―今年度の入学生から、新たに高度の専門性を持たせるための教育プログラムが行われていますね。7つのプログラムがあり、そのうち「情報生命科学」「バイオナノ理工学」「知能社会創成科学」「データサイエンス」の4つが融合領域です。修士の場合、履修したプログラムによって修了証書には「○○プログラム修了」と記して、就職のときなど専門分野がわかるようにします。専門知識を持たせるため、コアになる科目を選択必修として、単位の取得を初めて義務付けました。また、民間企業の研究者らを講師に招き、社会的なニーズを踏まえた製品化の道を探る「課題解決型(PBL)」の演習も必修になります。―このように本学が、教育、研究の体制で大きな変革の時期を迎えたことに対する思いは。本学のような大学院大学は数が少なく、創立の経緯から見ても実験大学とされています。それは、逆にチャレンジしやすい大学の規模や機構になっているという意味を含んでおり、1研究科体制の実施は、分野を越えた最高の成果を上げる絶好のチャンスととらえています。―学生の研究については、どのようになりますか。研究については、いままでの3研究科の体制に近い形で領域が分けられる予定で、教育プログラムと研究の区分けが分離し、車の両輪になって進みます。これまで「情報研究科に所属し、研究します」と言ったのに対し「情報分野の○○領域に入ります」と学生が自分の得たい専門知識や研究テーマを意識して一歩踏み込んで所属を選び、高度の知識を身に付けて成果を上げやすくなります。教員にとっては、複数の教育プログラムの学生が同時に所属すれば、それぞれの領域を理解しておき、学生に合わせて研究スケジュールを立てる必要がでてきます。具体的にどうするか、シミュレーションを行っています。―本学で積極的に進めている国際連携については、変化がありますか。国際共同研究などについては、現状のまま移行しますが、従来の研究科レベルの協定では、他の領域の研究者の参加が一層しやすくなり、発展する可能性があります。海外からの留学生にとっては、新たな融合領域など研究目標に合わせた教育・研究の場として選択しやすいかもしれません。1研究科体制に関する国際的な広報活動も今後取り組まないといけません。―副学長としては、本学の研究の特色、強みを調査・分析し、研究戦略を立案するIR(インスティテューショナル・リサーチ)や情報管理を担当されていますね。IRについては、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」などの進捗・管理の現状や、数値目標を達成するために強化すべき点などを他大学と比較しながら評価することは、大学の運営に不可欠です。そのために、主に研究に関するデータを収集しています。今後は解析の段階に入って行きます。また、サイバーセキュリティーなど情報管理についても喫緊の課題で、学内の専門家とともに対策を練っています。―小笠原先生はロボットの研究で知られていますが、その中でどのようなテーマに取り組んでいましたか。人の代わりに家事をするなどわれわれの日常生活を手助けしてくれるようなロボットです。視覚センサーにより瞬時に認識するシステムなどソフトウエアにウエイトを置いて研究してきました。―これまでのNAISTでの研究生活は。東京大学大学院工学系研究科の博士課程を修了して、当時の通商産業省の電子技術総合研究所(現・国立研究開発法人産業技術総合研究所)に15年間務め、1998年にNAISTに赴任しました。研究所時代は研究が中心で、教育の機会が少なかったのですが、本学では毎年、若い学生が入学してくるのがとても新鮮でした。また、大学院からスタートするので学生の出身学部は多様で面白いテーマが得られます。大学が設立されてから年数が経っておらず、新しく小規模なので柔軟な対応ができる。こうしたメリットを生かさないとNAISTで勤務する価値がないとさえ思っていました。―研究に対する信条は。「やってみなはれ」。サントリー創業者の鳥井信治郎氏の言葉で、常にチャレンジ精神を持たなければなりません。S E NTAN0 2