ブックタイトルSENTAN せんたん SEP 2018 vol.27

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概要

SENTAN せんたん SEP 2018 vol.27

知の扉を開く社会基盤を支えるハードウェアを守り、システムの被害を防ぐ情報科学領域情報セキュリティ工学研究室教授紹介全体のセキュリティが低下します。信頼性の要を担うハードウェアのセキュリティ確保はアプリケーションやネットワークと同様に検討しなければいけない重要な課題になっています」と林教授は強調する。攻撃側が使う機器が急速に進化し、性能とともに価格も下がったことも、被害の増加の背景にある、という。林優一教授藤本大介助教攻撃検知のセンサーなど開発急増するハードウェアへの物理攻撃インターネットなどコンピュータの情報網が地球の隅々まで拡大し、膨大な情報が流れる中で、サイバー攻撃による情報の漏えいやシステムの妨害などに対抗するセキュリティ(安全性の確保)の構築は、喫緊の課題だ。ネットワークやアプリケーションなどのソフトウェアについて熾烈な攻防が展開されているが、さらに、ネットを操作するパソコンや携帯情報端末(スマホなど)、情報を記憶するUSBメモリといった装置のハードウェアに及んでの対策が不可欠になっている。例えば、悪意あるICチップが組み込まれるとシステム全体に悪影響が出るなど被害は甚大で、対策にも高額の費用がかかる。IoT(モノのインターネット)が普及し、ネットに連結された様々な装置が個々に直接攻撃されることもあり、ハードのセキュリティはますます重要になる。こうしたハードを中心にシステム全体のセキュリティを研究しているのが、林教授らのグループ。「ハードウェアは、オペレーティングシステムやアプリケーションが動作するために必要不可欠です。そのため、ハードウェアに脆弱な部分があると、システム林教授、藤本助教らの具体的な成果を紹介しよう。まず、ハードウェアからの電磁波を通じた情報の漏えいを検知するセンサーの開発がある。この場合、攻撃者が行うハードへの攻撃は、情報の正規の入出力に行われるのではなく、暗号化する装置が動作する状況を電磁界プローブなど物理的な手段を用いて観測し、秘密鍵などの機密性の高い情報を取得する。一方、こうした観測はハードウェア周囲の電磁界を乱さず行うことは物理法則上困難なため、必ず電磁波の乱れが生じる。この変化をセンサーが高精度、広範囲にキャッチして、「不正に計測されている」と察知できる。攻撃のとば口で阻止すれば、被害を未然に防ぐことができるわけだ。評価セットアップ評価セットアップ攻撃者攻撃対象電磁波を通じて取得された端末画面▲モバイル端末に対する電磁波を介した情報漏えいのリスク評価0 5 S E NTAN