平成14年4月16日
評 議 会 決 定
1.理念
学部を置かない大学院大学である本学は、最先端の研究を推進するとともに、その成果に基づく高度な教育により人材を養成し、もって科学技術の進歩と社会の発展に寄与することを目的としている。
20世紀は科学技術が高度に進歩し、社会に大きな変化をもたらしたが、人間の諸活動に起因する物心両面における環境悪化によって、人類の存続さえ危ぶまれる状況をも作り出した。21世紀には、これらの問題の解決とともに、多様な研究の推進と次代を担う人々への全人的な教育が必要であり、そこで得られた独創的・先端的な研究成果と養成された人材が社会の発展や文化の創造に積極的に貢献することが基本となる。
本学は、このような状況に対応するには最も適した大学であると考える。それは、常に柔軟かつ多様性に富んだ大学院のみからなる研究・教育体制を敷くことにより、社会・国家の存続・発展に寄与する最先端の研究を実施し、高度な教育を行うことができるからである。ひいては、社会的使命を果たす上で必要となっている社会との連携・協力を積極的に推進する上においても、このような特徴は大きな利点になると考える。
したがって、本学では、次に示す理念をもって研究・教育に取り組むこととした。
- ◇ 先端科学技術分野に係わる高度な研究の推進
- ◇ 国際社会で指導的な役割を果たす研究者の養成
- ◇ 社会・経済を支える高度な専門性を持った人材の養成
- ◇ 社会の発展や文化の創造に向けた学外との密接な連携・協力の推進
2.理念の実現に向かって
本学は、わが国が科学技術創造立国たりうるための重要科学技術分野を構成する「情報科学」、「バイオサイエンス」及び「物質創成科学」の3つの研究科を有し、独創的・先端的な研究・教育に携わっている。これらが相互に作用しあえる柔軟なシステムの構築、すなわち、学術研究の動向に的確に対応した、幅広い視野からの研究・教育を実現するための研究・教育組織の見直しを早急に検討する必要がある。
本学では、 21 世紀型大学の実践校としての存在意義を示し、前項の理念を実現するため、研究、教育及び社会との連携・協力について以下のとおり実施することとする。
(1)研究
- 既存の学問領域に加え、融合領域への積極的な取り組みにより、新たな学問領域の開拓を図り、最先端の問題の探求とその解明を目指す。
- 社会の要請が強い課題についても積極的に取り組み、次代の社会を創造する国際的水準の研究成果の創出を図る。
(2)教育
- 体系的な授業カリキュラムと研究活動を通じて、科学技術に高い志をもって挑戦する人材、及び社会において指導的な立場に立てる人材を養成する。
- そのためには、研究者、技術者である前に、人間として備えておくべき倫理観はもとより、広い視野、論理的な思考力、積極的な行動力、総合的な判断力、さらには豊かな言語表現能力を備えた学生の教育を実施する。
(3)社会との連携・協力
- 大学の研究成果を社会全体に還元する有効なシステムである産学官連携の一層の推進・拡大を通じて、大学と産業界等とが相互に刺激し合うことにより研究の活性化・高度化を図る。
- 研究成果を人類の知的財産として蓄積するとともに、その活用を通じて新産業を創出することにより、地域社会のみならずわが国の経済発展に貢献する。
3.指針
以下に本学の将来へ向けて取り組むべき基本的な方針を「指針」として示す。今後、その内容の精査を行うとともに、独立行政法人化後の中期目標・中期計画の策定をも視野に入れつつ、この指針に沿った具体的なアクション・プログラムの作成に向け、学内における検討を早急に進める必要がある。
(1)世界最高水準の研究の推進
- 研究者個人の自由な発想に基づく高度な基礎・応用研究の推進
- 融合領域研究の積極的な推進
- 社会の要請に応じた先端科学技術分野の最先端研究の推進
- 柔軟な研究組織の整備
- 競争的資金の積極的な獲得
- 研究費・研究スペースの重点的な配分
- 研究支援体制の充実
(2)創造性豊かな人材の養成
- 先端研究を支える研究者・教育者・高度専門職業人
- 科学的ジャーナリズム・行政の分野など広い分野で活躍できる人材
- 幅広い知識を持ち、既存の知識をまとめて実用化させる能力を持つ人材
- 社会の要請にあった新しい分野の製品企画・開発が出来る人材
- 日本語及び英語によるコミュニケーション能力にすぐれた人材
(3)社会と共に歩む大学を目指して
- 共同研究及び受託研究の推進
- 研究プロジェクト推進体制の構築
- 教官及び学生による特許の取得と起業の奨励及び支援体制の確立
- 地域社会との連携の強化
- 研究及び教育成果の積極的な発信
(4)国際化の推進
- 先端科学技術分野の研究教育で国際的に活躍できる人材の養成
- 経済・社会構造の国際化へ対応できる人材の養成
- 国際交流の支援組織の整備
- 優秀な留学生の積極的な受入れ
- 研究・教育の国際性向上と国際競争力強化
- 優秀な教員の確保
(5)優秀な学生確保に向けて
- 多様な入学者選抜方法の実施
- 奨学制度の充実
- 研究・教育環境の整備
- 就職支援の充実
(6)責任ある管理運営を目指して
- 責任ある管理運営体制の構築
- 点検評価システムの構築
- 研究・教育組織等の見直し
- 事務組織の見直し・整備