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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第10回:物質創成科学研究科 藤木道也教授 [2014年9月2日]

「グルグル分子 1分で完成」

佐藤智和准教授

 

写真A
  • 人工的に作ったケイ素の螺旋分子のイメージ。左巻き、右巻きのどちらも作ることができる

ルイス・キャロルの小説「鏡の国のアリス」の中で、アリスは「鏡の国のミルクはおいしくないかもしれないわ」とつぶやきました。ちょうどこの本が書かれた19世紀後半、鏡に写したように左右反対の立体構造を持つ「鏡像異性体」と呼ばれる分子構造が発見されました。立体化学の夜明けともいえる大発見です。

その約1世紀後の1950年代には、自然界で最も精緻な分子であるタンパクやDNAの螺旋(らせん)構造が発見されました。分子を使って生命現象を説明する分子生物学の扉が開かれたのです。

こうした発見に触発されて、螺旋分子を人工合成する研究が始まりました。長年の経験と直感を頼りに、高度な技術を駆使して行うのですが、簡単ではありません。原料の分子と、それをつなげる触媒分子の両方を特別に設計し、螺旋状に分子をつなげる特殊な合成法を開発する必要があったからです。

ところが最近、私たちは、オレンジの皮などに含まれる香料分子「リモネン」を使い、「ポリシラン」というひも状の分子を簡単に螺旋状にする方法を発見しました。ポリシランはケイ素(Si)の原子100個~10万個が鎖状に並んだもので、これを溶かした溶液にリモネンを混ぜ、アルコールを加えてかき混ぜるだけです。

常温常圧の下、わずか1分で作ることができ、まるで生命の基本部品である螺旋構造を、フラスコ内で人工的に作っているような気持ちになります。

リモネンがない場合には、溶液を時計回りや反時計回りに混ぜたり、右や左に回転する光を当てたりしても、螺旋にできますし、リモネンを混ぜる量に応じて、螺旋の向きを右巻きか左巻きかに制御できることもわかりました。

分子がどちらの方向にねじれているかで、薬にした際の効用や副作用、毒性、味、香りが全く異なります。私たちの発見も、医薬品の開発に役立つ日が来るかもしれません。

 


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